6. お祭り



 その日の吉原はいつもより賑わいをみせていた。



 空と提灯の色が一緒になる頃。太鼓の音に子供たちのはしゃぐ声。立ち並んだ屋台からは威勢のいい声が。大門から沢山のお客さんが流れ込む。



「昼間もすごかったですけど、夕方からこんなに、来るんですね」
「今日は女たちも百華もお客さんも関係ない。
みんなのお祭りだからね」



 かき氷を食べ歩く若い女の子たちを眺めながら、日輪さんは嬉しそうに呟いた。そんなひのやでも、お祭り目当てのお客さんが休憩がてら入ってくる。




「ありがとうございました」
「よぅ、看板娘」




 外までお客さんを見送っていると、後ろから声をかけられる。ひらひらと手を振ってくる銀髪の男性。



「銀時さん! 来てくれたんですね」
「ちょっと様子を見にな」



 どうぞ、と中に案内して、いつものように、いちごオレをふるまう。本来はないメニューだが、銀時さんは特別らしい。



「神楽ちゃんと新八くんは? 」
「神楽は国の大事なお姫さんと朝から遊びに行ったよ。
新八は風邪で寝込んでる姉貴の看病。
まぁ、俺だけだ」




 いつもの見慣れた3人ではない事に気づき、問いかけると、銀時さんは頭をかきながら困ったように笑う。




「なまえ、せっかくだから銀さんと屋台回ってきなさいよ。私は晴太と月詠と回るつもりだからさ。
今日はさくら屋も休みだろう? 」




 日輪さんがいいアイデアというように、ニコニコと手を叩く。時計をみると営業時間の終わりを示していた。せっかく日輪さんが言ってくれているのに、無下にするのも申し訳ない。それにお祭りなんて、何年ぶりだろうか。
 銀時さんをみると、ぽりぽり頬をかき、少し不安げに見つめ返してきた。



「じゃあ、銀時さんが良ければ」



どうですか、と首をかしげれば、




「あぁ、喜んで」




と彼は笑った。





「銀時、なまえに何かあったら、タダではすまぬぞ」


 凛とした声の方を振り返ると、愛用してる煙管をふかしながら、月詠さんが立っていた。



「お前に言われなくても、 わかってるよ」
「なまえ、いざとなったらアイツを置いて逃げろ」



 月詠さんの真剣な眼差しを、あはは、と苦笑し受け流す。




(この目は本気で言ってる……)





 いつのまにか吉原の空にも星が瞬いていた。



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