02

ツーンと薬品のような病院独特の匂いで目が覚めた。

名前はボーッとしながらも、頭だけ動かしてゆっくり周りを見渡した。するとそこには青い服を着た男性が立っていた。

「目が覚めたか?」
『……え?』

だ……誰?!一体誰?!でもその着てるのって青い軍服……だよね……?てことは本当に鋼世界に来たって事?!

予想外の展開に動揺を隠せず、名前はあたふたしていた。
てっきりマスタング大佐の所に飛ばしてくれるのかと思っていたようだ。

(そんなうまい話はないか……)

名前はため息つきながらゆっくりと起き上がった。

「何を1人でブツブツ言ってるんだ?君の名前は?どうやってここに入ってきた?」

その男は真剣な顔つきで、名前は自然と姿勢が伸びた。

『私は名字名前……あ、名前が名前です。私も何故ここにいるか分かりません。目が覚めたらこのベットの上だったので』

名前は鋼世界に来た事を理解し、名前を伝えた。

「名字名前?珍しい名前だな。俺はハミルトン・オーズリー、地位は中佐だ」
『オーズリー中佐……』

聞いた事がない。こんな名前の人、漫画に載っていたっけ?と名前は必死に記憶を辿っていた。

『えっと……ここって何司令部ですか?』
「お前、分からずにここへ来たのか?ここは中央司令部だ」
『では、最近ロイ・マスタング大佐が解決した事件って何ですか?』
「マスタング大佐?あいつは今中佐だけど?お前あれか、マスタング中佐の追っかけか?」

中佐?!てことはまだ物語が始まる前に飛ばされたってこと……?
名前は、最近の解決した事件を聞いてどこの時期にいるのか知ろうとしたが、想定外の返答だった。

「おい、聞いてるのか?」
『あ、すみません……断じて追っかけではないです』
「で?お前は何故ここに来た?」
『私も来たくて来たわけでは……』
「?」
『ここでは言えません……出来れば別の所でお話させてもらえませんか?』

ここが中央司令部ということは奴らの本拠点であること。そう、ホムンクルス達の。しかも大総統もいる。もしかしたら、何かしらの方法で聞かれているかもしれない、と名前の頭によぎった。

「……別な場所なら話してくれるのか?」

でも、この人を信用したわけではない。悪い人なのかもしれない。異世界から来たと言ったら命はないかもしれない。又は、上層部に報告されて利用されるかどちらか…

『はい。全部話したら煮るなり焼くなり好きにして下さい』
「まぁ、とりあえず話を聞いてからどうするか決める。俺はあと少し仕事が残ってるから終わり次第だ。見た感じ怪我もなさそうだし、すぐここを出られるだろう。そのまま俺の家に来て話せ」

それなら問題ないだろ?とハミルトンは付け加えた。

そう言われて名前はハッと気付いた。
真理の所に居た時は余裕がなく、しっかり確認しなかったが確かにどこも痛くない。自分でも見る限り傷ひとつない。
んじゃ現実での事故は?真理に取られた代価はなんだったのか……

『あの、オーズリー中佐』
「ん?てかお前はここの人間じゃないんだからハミルトンでいいよ」

立ち上がり、ドアノブに手をかけようとしていたハミルトンが振り返ると、優しく微笑んだ。

『あの……私が倒れていた所はここでしたか?』
「いや、俺の執務室だ。執務室に戻って来たらお前が倒れてた。発見したのは俺だけだ。詳しい事はまた後で。終わったらまた来る。じゃあな」

少しゆっくり休んでろ、と言ってバタンと扉が閉まった。

とりあえずよかったと、名前は安堵の溜息を漏らした。

(でも、私これからどうなっちゃうんだろ……)

閉められた扉を見ながら、名前は急に寂しさを覚えた。

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16.01.30
オリキャラ出ました。あともう1、2話でマスタング大佐出す予定です。すみません。もう少しオリジナルにお付き合い下さいませ…

22.03.22 加筆修正