聖夜のときめき




白い雪が舞い散る中、駅前のモニュメントの前に立っていた。約束の時間まであと数分。いつもよりおしゃれして高級ブランドの香水なんかも付けてしまった。花の模様が描かれたシンプルだが可愛らしい紙袋には、ルームフレグランスとヘアオイル、ハンドクリームのセットが入っている。いつも愛用している香水と同じ蜂蜜の香りだ。
彼女が自分と同じ香りを纏いながら抱きついてくる想像をしただけで、自然と口角が上がってしまう。

「鴇子、メリークリスマス!」

蜂蜜の香り漂う楽園から現実に引き戻された。抱きついてきた彼女に驚いて尻もちをつきそうになる。ふと彼女を見ると、胸元で羽をかたどったシルバーのネックレスが光っている。

「もう、プレゼント交換は最後よ」

いや、彼女の鞄を見ていた訳ではなく彼女自身を見ていたのだが……そんなことは恥ずかしくて言える訳がない。適当に誤魔化して彼女と手を繋ぎ、予約していたレストランに向かった。
食事が運ばれるのを待つ間に気づいたのだが、彼女の胸元はいつもより空いているように見える。いや、明らかに露出度が高い。自分の為にお洒落して来てくれたのだろうか。

「……どこ見てるのよ」
「べ、別にいかがわしいことを考えていた訳じゃないよ」

なんで分かったんだ。何を言っても彼女にはお見通しなのだろう。誤魔化しは効かない。彼女の能力もそうだ。なんでも見つけてしまう。
そして、夕食のイタリアンを食べ終わり、デザートのケーキを堪能したところで、お互いに紙袋を取り出した。

「ブレスレットよ。私がもらったのとおそろいの」

彼女に去年あげたネックレスと同じ柄だった。羽の模様のシルバーアクセサリー。それを腕に付けて、光に当てたりして少し眺めたあと、今度は自分の紙袋を手渡した。

「これは……?」
「ルームフレグランスとか、ヘアオイルとか……自分が使ってる蜂蜜のやつと同じだよ。その、少し気持ち悪いかもしれないけど……康穂ちゃんが……自分の恋人と同じ香りのものをつけるってちょっと憧れてたんだ」

世の恋人たちがマフラーやセーターをペアルックにするのと同じで、香りもおそろいにしたかったのだ。だが、恥ずかしくて彼女の方を見ていられない。ぐるぐると視線を逃がしていると、彼女は口元に手を当てて笑った。

「ありがとう、嬉しいわ……!私のこと大好きなのねっ!」
「ちょっ、やめてよ!それは認めるけど、恥ずかしいってば!」
「ふふ、はーい」

凄く恥ずかしいけど、彼女が喜んでくれたみたいで良かった。おそろいのアクセサリーに、おそろいの香り。また来年もおそろいのものが増えたら嬉しいなあ、なんて。







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