究極愛情通信エラー
典明くんの部屋はホコリひとつ落ちてない綺麗な部屋だった。ベッドはきちんと整えられ、本棚のゲームや雑誌も五十音や背の高さに従って並べられている。なんというか、想像通りの部屋だと思った。普段から彼は几帳面で綺麗好きだ。そんな彼が自分の恋人が遊びに来る予定の部屋を散らかしているはずがない。単純な部屋だが、まだお楽しみが残っている。
「お茶淹れてくるから、ちょっと待っていてくれるかい?」
「うん」
その隙を盗んで、私は床にしゃがみ込んだ。男の子の夢と希望が詰まっている場所。誰にも見せられない秘密の場所。そう、ベッドの下だ。床に頭を付けてそこを覗き込めば、去年使っていたであろう教科書や数ヶ月前のジャンプやどが積み上がっていた。おそらく、使いそうなものや気に入ったものだけ取っておいているのだろう。その物陰の奥になにやら怪しいダンボールを見つけた。しめしめと思ってそれを引きずり出した。ふやけたガムテープで閉められた蓋は簡単に開いた。
「箱には何も書いてないのね……雑誌かな。あの子ゲーム好きだからそういうゲームかな」
やけに重たいその箱を覗き込んでみれば、中に入っていたのはVHSのテープだった。それも何個も。油性ペンで日付が書かれている以外に情報が無かった。ただのホームビデオかもしれない。年が書いていないから、写っているのは子供の頃の典明くんだったりして。
見たい。でも、典明くんはきっとすぐに戻ってくるだろう。素直に聞いてみようか。でも人の部屋の物を勝手に漁る変態だとは思われたくない。そんなことして幻滅されて、振られたりしたら最悪だ。
「鴇子、お茶を……」
典明くんは私を見てピシリと固まった。やばい。見られた。幻滅される。怒られて怒鳴られて、こっぴどく振られるシーンが次々に頭を巡る。だがそんなものはただの早とちりでしかなかった。
「それが見たいのか?まったく、困った子だな」
「えっ」
笑みを浮かべている?勝手にダンボールの中身を覗いた私を見て?私をベッドに座らせると、典明くんはビデオプレーヤーにカセットを入れてそれを再生した。彼の腕は私の腰に回されている。上手く理解ができない。なぜ彼はこんなに楽しそうなのか。プレーヤーから流れるカセット読み込みの機械音が余計に私を緊張させた。何が流れるのか分からないが、良いものでないことは何故か確信していた。
まず初めに写ったのは幼い典明くんではなく私だった。ホットパンツと薄いTシャツ姿だからきっと夏だろう。一階にあるベッドで眠っている私の映像がひたすら流れていた。だんだんとアップになり、私の首筋や胸元や、少しめくれたお腹にカメラはゆっくりと近づいていく。
「ね、ねぇ、典明くん……」
いつの間にか彼の手が私の体に伸びていた。映像の中の手が私のお腹を撫でるのと同じように、典明くんは私のブラウスをスカートから引っ張り出してその隙間に手を突っ込んだ。腰を撫でる冷たい手の感触が気持ち悪い。
典明くんはいつの間にかビデオカメラを構えていた。手を服の中から出して、ブラウスのボタンに手をかけた。
「ふふ、この続き、撮らせてくれるんだろう?」