知らない青を見てみたい
スコールはいつも無愛想だ。SeeDに就任したばかりの時と比べれば大分マシになったとは思うが、それでも喜怒哀楽を表情に出すことは少ない。
「スコールほら、にこ〜って」
「……ひゃめろ」
隣で報告書を読んでいる彼の両頬を掴んでひっぱれば、不器用な笑顔のできあがり。しかし眉間にシワがよって変な顔になってしまっている。思わず吹き出すと、彼が私の手を振り払った。
「ふふ、変な顔になった」
「あんたがそうしたんだろ」
「だって笑顔が見たいんだもの」
先程抓ったせいで少し赤くなってしまった頬を優しく撫でた。スコールは腕を組んで不貞腐れている。髪をいじったり、頬をつついたり、耳を撫でたりとやりたい放題していると、ついに堪忍袋の緒が切れたのかスコールが私を押し倒してきた。
「きゃ!」
「自分は触るだけ触って、俺の事は嫌がるのか?」
「貴方が笑ってくれないからよ。私はいつもにこにこしてるからいいんです」
「……卑怯なヤツ」
お返しと言わんばかりに私も頬を抓られた。普段は冷徹さを含んでいる氷のようなブルーの瞳は、今は暖かい光のように見えた。私から手を離したスコールの頬に手を当てて瞳をのぞき込む。光に照らされた海のようにきらきらとしていた。
「スコールの目の色、きれいね」
「……」
私の唐突な発言にスコールは首を傾げた。整った顔をしているせいで、そんな些細な動作の一つ一つが美しく見える。
「初めて会った時はね、冷たい氷みたいだなって思ったの。でも今はとっても暖かく感じるわ」
アーヴァインと一緒にガルバディアガーデンで任務に参加した時、彼は私に挨拶もしなかった。でもそれからみんなで旅をしているうちに、だんだんとお互いのことが分かってきて……アルティミシアを倒した後、私たちは結ばれた。
「あんたの目は光そのものだ」
「そう?」
「ああ。あんたがいたから、俺の氷が溶けたのかもしれないな」
スコールは時々、そんなことをカッコつけて言うことがある。今だって、私の瞳を覗きながら楽しそうに笑みを浮かべている。
……楽しそうに?
「あ、スコール、笑った!」
「なっ……!」
驚いて起き上がろうとする彼の首に手を回して、自分の方へと引き寄せた。一瞬で彼の爽やかな香水の香りに包まれる。顔を真っ赤にしながら、私の腕から脱出しようともがいているスコールの頭をわしゃわしゃと撫でた。
「スコール、だーいすき!」
「は、離せ!」
「もう、素直じゃないんだから!たまには甘えてもいいのに。というか、甘えなさい!」
孤高の獅子が猫に見える。
ぎゅっと強く抱き締めると、観念したのか大人しく私の腰に腕を回した。彼の速くなった鼓動が伝わる。本当に、彼は無愛想だが可愛いのだ。