とは言え楽しみにしているのには変わりなくて、今日という日までが短いようで長くて、でもようやくやってきました修学旅行!
班ごとにバスの席は別れているので、もちろん私はちよの隣に座る。ちよは千歳の隣に行きなよって言ってきたが、変に意識してしまっている私の心がもつわけがない。お願いやから一緒に座って、と泣きついたのは言うまでもない。それには強要せず、しゃーなしやで、と一緒に座ってくれた。
バスの中ではゲームしたりお菓子食べたりたまに寝たり、ありきたりな過ごし方をした。千歳君はこういう盛り上がりに入ってこないタイプかなあ、なんて勝手に思っていたけど案外ノリが良くて一緒に楽しんでいた。罰ゲームで校長先生もモノマネさせられていた時は似てなさ過ぎて大爆笑がおきた。千歳君も楽しそうに笑っていた。
ようやく現地についた時にはみんな寝てしまっていたんだけど、こんなに楽しいクラスで良かったなと思う。旅館についた時は夕方で、すぐに部屋に行って荷物を置いて広場で晩御飯を食べるというスケジュールだった。
「ふう〜、なまえ美味しかったね」
こういう旅館って結構な量が出るものだ。それも食べ盛りの中学生相手となればよけいに張り切って盛り付けられてくる。お刺身が特に美味しかったのでそれだけは残さずに食べたが、揚げ物などの油っこいものは残してしまった。自分の分を平らげた後にそれも食べてくれたちよはとても満足そうだった。こんなに食べる子だとは知らなかったので驚いたが、しめにお茶漬けを食べたいと、おっさんっぽいことを呟いていたのを私は聞き逃さなかった。
お風呂は温泉があって班交代で順番に入ることになっている。もちろん部屋のシャワーですましてもかまわないらしい。けどせっかく来たんだし温泉、入りたい!
歩いていると既に入ってきたらしい子らが、温泉について感想を言い合っていた。それを聞いた私はちよに言う。
「ね、お風呂すごい広いらしいで!」
「ほんま?!楽しみやな〜やっぱりここは王道に泳いでみたいよね」
本当に泳ぎだすであろうくらい目が輝いている。そんなことしたら先生に怒られるのに、楽しいことはやめられない。部屋に戻って用意していると、ちよがあれがないこれがないと荷物をひっくり返し始めた。そわそわしながら待っていると先に行っててと言ってもらえたので早く来てねと声をかけて部屋を出た。私もちょっと泳ぎたかったりするので急ぎ足になった。スリッパだとあまりスピードが出ず何度か脱げながらも向かうと、途中で千歳君に会った。
「みょうじさんも今からお風呂?」
「せやで!広いらしいから楽しみやわ!」
「泳いだら駄目ばい」
それだけ言うとクスッと笑って男湯に入っていった。
なぜバレたんだ!!!
同じ班の他の女子はシャワーですましてお喋りに時間を使うと言っていたから、よと二人きりだし泳ごうとはりきっていたのに!
思っていたより普通に話せた気がする。ちよに好きなんでしょと言われてから意識しすぎて少し避けていたので久しぶりに会話をした。バスではゲームのやりとりはあっても、話はしなかったから久しぶりの会話。うん、これなら大丈夫そう。やっぱり千歳君のことを考えると、ドキドキしてほっこりした気分になるけどこれは優しい気持ちで癒されているだけだと思う。
そんな事を考えていたら女湯前で立ち尽くしていたみたいで、後から来たちよに何があったんやと、問い詰められました。
これは恋愛トークでオールの予感。
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