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「で?なにがあったん?」
「せやからお風呂楽しみやねって話しただけやで」
「ほな何でつったっとったんよ」

先程からこの会話が繰り返されている。本当に何も特別なこと話してないんだけど、ちよには何かあったように見えるらしい。

「まあいいや」

いつもなら納得いくまで聞いてくるのに、わりとあっさりと引き下がった。

「修学旅行の夜と言えばやっぱりお部屋訪問やんな!」
「お部屋訪問?先生にバレたら怒られるやん、自分の部屋におらな」
「でもさ定番の枕投げしたいと思えへん?」
「それは……楽しそう」
「せやろせやろ!」

ほな決まりやねと私の手をひいて外へ出る。 少し離れた場所で同じ班の鈴木君がいて、こっちだと手招きをしている。不思議に思いちよを見ると、さっきメールで鈴木君の部屋で枕投げする事が決まったのだと教えてくれた。なんでも偶然鈴木君の部屋が一番広く、すでに何人か集まっているそうだ。周りを警戒しながら廊下をこそこそと渡り、別の部屋に入るのは悪いことをしているみたいでドキドキしたが、それ以上にわくわくしていた。

中へ入るとチーム分けの最中だった。

「友田、みょうじお前らで全員だ」
「鈴木〜良い感じにチーム分けしてよね」
「当たり前だろ、簡単に勝ったんじゃおもしろくねーから」

鈴木君や誰とでも仲良くできるちよはさっさとみんなの中へと入っていってしまった。私も後へ続こうとした時だった。

「みょうじさんも来るて思わんかった」

「わ!千歳君!びっくりした〜」

「驚かするつもりはなかった」

「枕投げ参加するの?」

「ん、散歩しよるとこ捕まった」

千歳君らしい解答に思わず笑ってしまう。すると千歳君も笑い返してくれた。千歳君の笑顔を見るたびに胸がキュンってなるのはなんでだろう。



「ほなチーム発表すんでえ!」

鈴木君の声に私達もみんなの元へと駆け寄る。


「ちよと同じチームが良かったよおううう」
「はいはい、千歳がおるんやからそっち行っときなさい!」
「がーん!ちよにフラれた……」
「みょうじさん始まるばい、俺が守るけん側にいな」

「千歳え!うちのなまえに手出したらしばくで!」

「ふ、枕投げで勝負!」
「千歳君ノリノリ?!」

そんなこんなでちよとは離れてしまったが、千歳君が側にいるよう言ってくれたので、千歳君の後ろから枕を渡すというフォローにまわった。これはこれで楽しい、きっとちよが同じチームになるようにしてくれたんだろう。

しかし審判も参加しだして勝敗がどうというより、もう枕を投げているという事実を楽しんでいるだけだった。

最初こそは静かに遊んでいたが、気がつけば盛り上がり結構な声が出ていた気がする。それはこの人数ではしゃいだら仕方ないことなのかもしれない。なぜそう思ったのかというと先生が見回りに来たからだ。


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