あれからしばらくして視線のことを思いだすことなく過ごす日が続いた。
思い出したのはちよがきっかけだった。あれからどうだ、という問いに何が?と返してしまほどに忘れていた。大丈夫ならええねん、と気にかけていてくれたちよの優しさに友達って良いものだと思った。
「今日どっか行かん?神社はもういいや」
「オッケー、輸入ショップでお菓子買いたい」
「大きいマシュマロやろ、ほんま好きやなあ」
「へへへ、あれをココアに浮かべるのが最高なんすよお」
「きゃーマシュマロさん逃げて〜」
突如はじまるココアvsマシュマロごっこで笑っていると白石と謙也が「仲ええなあ」とやってきた。
「あんたらも仲ええやん」
「なんかちょっとちゃうよな」
ちよと謙也はそのまま別の話題で盛り上がりだした。それを眺めていた私に白石が声をかける。それが小声だったため姿勢は変えず頭だけ傾けた。
「なあみょうじ」
「うん?」
「ユウジって友田と付き合ってるん?」
「え?二人からそのようなことは聞いておりませんが……」
ちよを見ながら、もしそうなら話してくれると思うんだよなと続けた。白石は納得していないような表情をしながらも、そうかと答えた。もしかしてちよのことが好きなのかなと思ったけど、なんとなく聞きづらくて黙っておいた。
一日雨、という天気予報は当たっていて夜になっても止みそうにないなと思えるくらいだ。それでもぬれずに楽しめのるは地下街に来ているからである。
お目当てのマシュマロを嬉しそうにレジへ持って行くちよの後ろをついて行く。レジ横にお守りが置いてあった。ちよが『厄除け』を手にとり「ついでに買う?」と聞いてきたから、もう大丈夫と元に戻した。
「今思えば私に恋した結果ちゃうかな、ほら可愛いからさ」
「ソーデスネ」
こうやって笑い話にできるくらいなんとも思ってなかった、この時は。
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