君を守り隊5

あの日以来、帰り道になると足音がピッタリひっついて聞こえるようになった。とは言ってもまだ一週間も経っていない。しかし視線も再び感じるようになった。視線と足音は同一人物なのか、それとも気にしすぎなのか。怖い考えになりそうになるが、偶然が重なっただけだと言い聞かせている。別に、なにか危害を加えられたわけではないんだから、偶然なんだろうって。



「どうしたん?」

いつもお弁当を早食いする私がノロノロと食べているのが気になったのだろう。ちよが心配そうにしているが、また気のせいかもしれないすぐになくなるかもしれないという気持ちがあり相談できずにいる。

「お母さん慌ててたみたいでいつもより味濃いねん〜」

「なまえに似てどんくさいね」

本当はいつも通りの味だけどなんとかごまかせた。でもこれだけは言っておこう。

「お母さんが私に似たんちゃうで、私がお母さんに似たんやで」

「それもそうやな」

「ていうか私どんくさくない!」

「そこが可愛いんやから大丈夫」

無邪気に笑うちよに少しほっとして残すことなく食べることができた。



部活が終わってみんなでたこ焼きを食べる。いつも部活の時だけは視線を感じないし、仲間思いのみんなといるのは安心できるから好きだ。嫌いなのが解散してからだ、一人になってしまうから。幼馴染のユウジは近所に住んでいるけど小春ちゃんとネタ合わせしてから帰っているようで邪魔はできない。

「また明日ね」

毎日この台詞の後に、たまには一緒に帰らないかって言いかけてはやめている。

「なあユウジ」

「なんや」

「あの、あんま遅くならんようにね」

「おかんか」

今日も言えずに一人家路へつく。駅前は明るく人も多い。二分ほど歩くとすぐに住宅街へ入った。家からもれる明かりがあるものの人通りは少なくひっそりとしている。大体この辺りから足音が聞こえてくる。もし、ペースを変えて相手がついて来なければ私の勘違いで終わるだろう。でも、もしそれに合わせてきたら……。そう思うと怖くて何もできずにいた。

ちょっとだけ……本当にちょっとだけ……。確かめるんじゃない、今日は急いでるの。そう言い訳をつくって少し走ってみる。すぐに後ろの音も私についてきた。想定してなかったわけではない。それでも覚悟はできていなかった。思わず足を止める。息を整えようと深呼吸をするが足音は聞こえない。さっきの角を曲がったんだ、そう思ってゆっくり歩き出した。でも聞こえてくる。ひたひたと、私に合わせて歩く音。




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