君を守り隊6

朝、目覚ましが鳴る。あの後無事に帰れたものの、夜は中々眠れなかった。学校休もうかなと考えながら、器用に腕だけ出してアラームを止める。しばらくすると「起きや!朝ごはんできてんで!」と布団をまくられた。

「お母さん起こし方豪快……」

「優しく起こしても起きひんやろ」

普通に起こして欲しかったらすぐに起きることやな、と捨て台詞を残していった。

着替える前にそっとカーテンをめくってみる。いつもとかわらない風景に夢だったのかと思いたい。しかし耳に残っている足音がリアルで気分は落ち込んだ。シャキシャキ準備しようがノロノロしようが、結局は行かなければならないのだ。それでもいつもより時間がかかるのは、外に出ることを体が拒否したがっているんだと思う。



「おはよう」

「おう」

朝ごはんを少しつまみ家を出るとちょうどユウジが歩いてきた。中学に入ってからは一緒に登下校することは減ったが、最近はタイミングが重なるらしい。

「最近どうしたん?いつも小春ちゃんと早く行ってるのに」

「起きられへんねん」

「わかる、今日休もうかと思ったわ」

「……寝れてないん?」

図星をつかれる。布団に入れば秒で寝られるのが自慢だったのを知っているユウジに、寝られないと心配かけたくなかった。寒くて寝つきが悪いだけだと答えると、俺もと言われた。朝だとは言え一人でないことに安心する。これからずっと寝坊すれば良いのにと思った。



授業も終わり部活も終わり、あとは帰るだけ。まっすぐ帰っても寄り道をしても聞こえてくる足音に、最寄り駅で待ち伏せしているのではないかと考えた。でも視線は学校で感じるから、同じ学校の人が朝からすでにつけているのかもしれない。今日は早く寝たいから先に帰ると伝え校門で別れた。

地元につくまでは大丈夫だと勝手にそう思っていた。だがみんなと別れて五分もしないうちに足音が聞こえてきた。学生にサラリーマンにOL、これだけ人がいるのだから誰かしらリズムは合ってしまうかもしれない。そう思いたいのに、ついてきているのではという不安が大きくなる。いつもは乗らない車両に乗り、最寄り駅についたら一番最後に改札口を出た。これで後ろには誰もいないはず、念のため回り道をして帰ろうと二本別の筋へ出る。

むかしはこの道からユウジと帰って、本屋さんで駄菓子を買ったりしたな。そんな懐かしい気持ちもすぐに消えた。まただ、聞こえてくる。車両を変えても道を変えても後ろからついてくる。はやまる心臓を手で押さえながらゆっくりと振り返った。



「……ユウジ?」


「あ?」

振り返った先にはスマホを触りながら歩いているユウジがいた。私が声をかけるとようやく顔を上げた。

「え、いつからいたの?」

「さあ、俺ずっとゲームしとったから」

「なんでこの道なん?」

「本屋寄ろう思って」

なんだよユウジかよ〜と一気に力が抜ける。その場に座り込みそうになったがなんとか堪えた。

「私も寄りたい」

「おん」

つまりは一緒に帰りたいという意味なのだが、ユウジは特に気にする様子もなく私の隣に並んだ。


「たこ焼き、行かんかったん?」

「小春が帰ったからな」

「あーそう」

本当に小春ちゃんが中心なんだなと呆れたが、そのおかげで一緒に帰れるんだから文句は言えない。新刊を手にするユウジにまだそれ続いてたんやなと声をかけると、私が止まっているところから大まかにストーリーを教えてくれた。また読もうかなと言えば貸してやると言ってくれたのでそのままユウジの家へ寄った。その頃には誰かがつけているかもしれないことは忘れていた。



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