君を守り隊7

久しぶりに楽しい会話ができた。それが漫画であっても良い、楽しかった。だからだろうか、遅くまで読んでいたわりにスッキリした気持ちで起きることができた。昨日とは違いさっさと支度をすませリビングへ行く。お腹すいた、と母へ声をかけるとまずはおはようでしょと返された。とりあえず牛乳を飲もうと冷蔵庫へ近づくが、その前に新聞とってきてと言われてしまう。しょうがない、とコートを軽く羽織って郵便受けから新聞を取り出した。パサリと一通の手紙が落ち慌てて拾う。汚れを払いながら宛先を見るが何も書かれていない。なんかのチラシだろうか、その場で開けてみる。

「ひっ……」

赤く細い字で書かれたシンプルな紙。思わず投げ捨てた。

「はよ玄関閉めてや寒いねんー!」

家の中から聞こえる母の声に慌てて拾い上げポケットへ突っ込む。
新聞を渡すとハチミツで甘くしたホットミルクを出してくれた。スマホ忘れたと言って部屋へ戻り、ゆっくりポケットから紙を出すともう一度広げる。


隣 は 渡 さ な い


たったそれだけしか書かれていないが、きっと私に宛てもので、隣にいた人はユウジのことを指しているのだろうとわかった。いつから見ていたのかどこまで見ていたのかわからない。もしかしたらユウジのところにも何かきているかもしれない。昨日の足音はユウジではなかったんだ。その後ろにまだ他の人がいたんだ。でもいくら思い出しても私とユウジしかいなかった。影に隠れていたのだろうか。手紙を無造作に引き出しへ突っ込んだ。




「おはよう」

「顔色悪いで、あれからまだ読んでたんか?」

「ちょっと、止まらんかった」

嘘ではないが寝不足になるほどではない、むしろ調子は良かった。さっきまで。

「なあユウジ、なんか手紙きてた?」

「手紙?なんの?」

「いや、なんとなく、なんかきてたかなって……」

「なんも入ってへんかったで」

なんやねんと文句を言うユウジに本当のことなんて言えなくて、塾の案内がいまさら多いんだよねと誤魔化した。お前阿保やもんなって笑われたけど、私はうまく笑えたかわからない。




「手紙を送る理由?」

「そう、ちよはどんな時に送りたい?」

「そうやなー、直接は言いにくくてでもちゃんと伝えたいときかな」

「言いにいけど伝えたいとき?」

「たとえば告白とかね、定番すぎ?」

やっぱりハートのシール貼ってさ、と話すちよに適当にうんうんと返事をする。
手紙のことを思い出しても、誰が何を伝えたいかはわからない。でもきっとユウジといたことが気に入らないんだということはなんとなくわかる。相手が私のことをよく思っていないことは確かだと思った。



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