これも青春8

なんだかんだと、五日目になった。あれ、私ってば物覚え良いし、効率よく動けてんじゃん!と一人自画自賛していると、どこからともなく幸村君が現れた。

「皆の教え方やサポートが良いおかげだよね。ま、僕が直々に頼んだんだからやれないわけがないんだけど」

って蹴落とされたので、私褒められて伸びるタイプなんだぞって怒っといた。けど失礼なことに、Mの素質あると思うけどなって言われた。私あまり雑に扱われるとやる気失くすからね。繊細なんだからね。

幸村君が去っってからも、テンション下がったな〜と立ち尽くしているとジャッカルがやってきた。

「お待たせ、部室空いたぜ」

着替えくらいレディーファーストにしてくれても良と思うのだが、コートの片づけ最終チェックは私の仕事なので仕方ない気もする。でもみんなで私が出てくるのを待ってくれているから許してあげてる。ちょっと文句言ったけど許してあげたの。着替え終わって部室を出るとジャッカルの姿しかない。みんなは別のところにいるのだろうか、周りをキョロキョロと見渡す。それに気がついたジャッカルが声をかけてくれた。

「ああ、みんなはもう先に行ってるんだ。鍵返してくるから校門で待っててくれ」

何でどこに、を抜かしたことを言うもんだから、その通りにするしかなくて待ちぼうけ。10分程で戻ってきてやっと帰れると思えば、いつもと違う道に行こうとする。

「ジャッカルどこ行くの?」

「俺の家」

そ、そんな、ジャッカル!!!!結構奥手なタイプっぽいなって思ってたのに!!!肉食系のジャッカルか。かっこいいけど……私そんなつもりはなくてよ!ただ、マネージャーとしてみんなに優しくしてるんだよ!誤解させたならゴメンだけど、これからも同じ仲間として 「ついたぞ」 同じ仲間として……。

心の中でなんて断ろうか、と考えている間についてしまったようだ。

「ジャッカル、あのね、私、その、いきなりお家にお邪魔するのは、なんというか……ね?」

戸惑いを隠せない私に「ああ」と笑って「大丈夫」って、私の手をとって進んでいく。

だいたん……!!!!


そんなつもりはなくとも、キュンとしたのは否めない。なのに、こんなオチってないんじゃないかな?



「「「「「「「おつかれー」」」」」」」



「え?なに?なにこれ」

なんでみんなにがいるの?ていうか玄関にキッチン?てか広くね???
意味がわからずポカーンとしていると、真田君からと顎下をそっと押し上げられる。

「口が開いているぞ」

うわ、キスされるかと思った!!!!真田君に限って、ないよね、でもそんな勢いだったよ今。

「女性にそんな簡単に触るものじゃありませんよ」

そうだそうだ!さすがジェントルマン柳生君!

「はよこっちきんしゃい」

自分の隣をポンポンとたたく仁王君。

「腹減りすぎて無理、はやくしろよ」

空腹で機嫌の悪い丸井君。

「先輩!今日は先輩の歓迎会っすよ!」

笑顔で駆け寄ってくる切原君。

って、歓迎会???

「私の歓迎会?」

なにそれって問うと幸村がこっちにやってきて、手を差し伸べてくる。

「マネージャーになってもう丸五日。思っていた以上に良くやってくれてるよ。もう仲間だって認識してもらいたくて、ジャッカルの店で歓迎会を開くことにしたんだ」

ジャッカルの家って店やってたの!?紛らわしいな!店って初めから言えよ!!!!キュンとした自分を返せ、と恨みを込めてジャッカルを睨んだら少し後ずさった。

「ほら、なまえ」

いきなり名前を呼ばれたことに驚き、幸村君へ視線を戻す。手をさっきより私に近づけてくる。無言で手を重ねるとみんなが一斉に声を出す。


「「「「「「「「ようこそ!立海大テニス部へ!!!」」」」」」」」


マネージャーなんて、続けるつもりなんてなかったのに。

今みんなのために何かしてあげたいという気持ちがこみ上げてくる。自分でもこんなことでその気になるなんて、やっぱり単純だとわかっちゃいるが嬉しいのだ。嫌々やっていたにも関わらず、仲間だと迎れてくれることが、どうしようもなく。もっと愛想よくやれば良かった、なんかごめんみんな。それから。




「ありがとう」


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