マネージャーをはじめてちょうど一ヵ月がたった。時間が過ぎるのは早い。でも夜まで部活をして帰ってご飯食べてサイト巡りしてまた朝がきて、なんてハードな生活をしていればあっという間なのも仕方がない。行けばそれなりに楽しくやれるが、はやく部活行きたいなとかは未だに思えない。それでもちゃんと部活に参加している私はえらいと思う。
毎週ではないけど土曜日でも朝練だけはある。眠い目をこすりながら家を出た。本当は行くつもりなかった。しかし初めて土曜日を迎える前日の帰り際、彼に言われた言葉がムカついた。
「明日も午前中はあるけどみょうじさん起きるの苦手でしょ、だから土曜日だけは休んで良いよ」
これ、こう言われたの。切原でさえ起きられるのに私が起きられないわけないじゃない。むしろアニメ見るために早起きしてるんだぞ!だからこう言ってやったの。
「来るに決まってるでしょ」
ってね。そしたらみんな笑いだすし「ほらな」なんて声も聞こえたから、もしかしてはめられたのでは?という疑問が残ったけど、やっぱり行かないって言ったら馬鹿にされるのが目に見えてるからちゃんと行ってるのさ!
キッカケはどうあれ私ってば真面目だから、コートとかの準備しなきゃな〜って一番早く来てるの。着替えも先にすませておきたいし。けれども鍵を取りに職員室に寄ったら、もう鍵はなかった。
誰か間違って持って帰ったか?ヘアピンで開けれるかな〜。とりあえず部室のドアノブをひねれば、カチャっと開く。そこには誰もいなくて、まさかの鍵かけ忘れ?と思ったがすぐにまあ良いか、と着替えてコートに出た。
すると一人で練習している姿が……。
あ、そうか。持って帰ったんじゃなくて、私より早く来てたのか。今まで私より早く誰かが来ることはなかったから驚いた。
ネットをかけてしまいたいのに、辺りにはボールが散らかっていた。いつもならコートから準備するんだけど……まあ良いか、中の仕事からしよう。部室に戻って書類整理をしながら、今日のメニューをまとめていく。他にも今度で良いやと、後回しにしていたものに手をつけていたらコートから人が戻ってきた。
「おはよう」
「みょうじか、誰か来たのは気づいていたんだが」
「真田君こそどうしたの」
さっきは遠くてわからなかったが、どうやら真田君だったみたいだ。
「早くに目が覚めてしまってな。剣を振っていたんだが、もう登校しようと思ったんだ」
「そうなんだ、私は準備があるからいつもこのくらいだよ」
「そうか」
剣ってなんだよ、こわくて聞けない。こわいけど汗をぬぐいながら話す姿は、なんだかセクシーだ……と思いたいが、何故か風呂上がりのおっちゃんに見えるのは内緒である。
「もう練習終わった?ネット張りに行っても大丈夫かな」
「ああ俺も手伝う」
まじかー!!!これがきっと幸村君だったら手伝ってくれなかったんじゃないかな!真田君って本当に真面目!レギュラーの中では結婚したいタイプだ!
こうして一気に私の中で真田君の株が上がった。
ネットが張り終わる頃には、他のメンバーもぞろぞろとやってきた。ただ昨日は遅くまで盛り上がってしまったため、みんな眠たそうだ。それなのに早く目が覚めて行動する真田君って、ちょっとおじいちゃんみたい。さっきもおっちゃんに見えたしな。
今日は学校が休みなのに……と思うと眠さが増すが、終わる頃にはみんなも元気で「遊んで帰るんだ」とめずらしくバラバラに散った。私は宿題をすませてしまいたくて、帰ることにした。すると柳生君がこう申し出てくれた。
「みょうじさん、今日の鍵当番は私なので送って帰りますよ」
「わあ!すごい!本当に紳士だね!」
そんなのいいよ悪いよー!なんて答えるわけがない。テンションが上がるだけだった。だって普通に生活してて、送ってもらうことなんてなくない?それもこんなに明るい昼間から。ちょっとわくわくドキドキ!
って期待していたのに、黙々と歩くだけで、なんか思ってたのと違うなとガッカリしたのは秘密である。後日ちよにその話をするとファンには黙っときなと言われた。まずファンの知り合いいないんだけどね。
でも少しずつみんなとの距離は縮まっている。はじめはチャラそうだし『イケメン・テニス強い』で調子のってんのかな、って思ってた。でもテニスが強いのはそれだけの練習をしているからだとわかった。やっぱり二次元には負けるけど、それでもみんながかっこいいって言われるのは納得できるようになったし、あんなに嫌がることもなかったかなって思う。まあ帰宅部に戻れるなら喜んで戻るけどね。新作にあてる時間が少なくなったせいで次のイベント落ちそうなんだよ。でもサボって身バレされたらどっちの世界でも生きていけないから、まだ頑張ってみます!
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