日曜日、久しぶりの休日を心ゆくまでオタク活動しようと早起きをした。。宿題も昨日終わらせたし、ネーム描きあげるぞ!と机に向かったが、猫になるという大きなネタからまだ話を広げられないでいる。どうしようと妄想を広げていたら携帯が鳴った。
『着信・切原』
うん、無視だ無視。宿題手伝わされたらたまらない。しつこく鳴っていたもののしばらくすると切れた。気分転換にアニソンでも聞くか〜と携帯をさわっているとまた着信。
『着信・仁王』
え?なに?テニス部でなんかあったの??立て続けにテニス部から連絡がくると、さすがに不安になるというもので渋々とでてみた。
「はい」
『お、でた』
『え!俺のはでなかったのに!?』
近くにいるであろう切原の声が大きくてうるさい。
「なんなの」
『暇じゃろ出てきんしゃい』
「なにその決めつけ」
『みょうじせんぱーい!あっそびましょー!!!』
『赤也五月蠅い』
話を聞くと偶然会った二人で遊ぶことになったが、人数多い方が楽しいだろということで片っ端から電話をかけているらしい。みんなそんな暇してるの?むしろ疲れてないの?私はやっと丸一日ゆっくりできるって喜びまくりなのに。
わかったと言うまで着信がきそうだったので行くことにした。でも来週の日曜日は絶対に一人にさせてという条件付き。それにネタ拾えるかもしれないからという小さな期待を抱いて出てきたものの……。
「遊びってゲーセンか〜」
「ゲーセン嫌いすか?」
「しょうがなかろう集まらんかったんじゃ」
「なんすかそれ〜!俺はゲーセン好きっす!」
あれやりましょ、これやりましょ。ほとんどが切原のリード、というか振り回されただけなんだけど、次々遊んでいるうちに楽しくなった。ゲームは苦手だしあまり興味なかったけどゲーマーの気持ちが今ならわかりそう。
音楽のゲームをすごいスピードでやっている人がいて、釘付けになっていると「やってみます?」って切原が教えてくれた。さっきまですごい技を披露していた人がまだやるのか後ろに並ぶので、初心者なところを見せるのが恥ずかしかった。大体のメインになるゲームをやりつくし、他のも見てみようかというとき、仁王の携帯が鳴った。
「今から来ないと町中のケーキをけしてみせよう。イリュージョンじゃ」
とかわけわからない内容から、きっと相手は丸井だなとわかった。
電話を切った瞬間「丸井先輩すか?」「おう、ここ出るぜよ」の会話から、私の予想は当たりである。
「どこに行くの?」
さっきから歩いてるだけなんですけど!と文句を言うと「運動にもなっとらん距離ぜよ」って返された。あんたらと一緒にすんなっつーの!十分以上歩きたくないのは私だけなのか?!
ようやくついた時には丸井が建物の前にいた。私達に気がつくと、膨らましていたガムをパチンと潰し片手をポケットにもう片手あげて「よう」と声をかけてきた。
「はやく行きましょ!俺ためしたい技あるんすよ!」
「そうせかしなさんな」
三人は今から何をするのかわかった様子で話をしているが、私にはさっぱり意味ぷーなのである。ちょっと誰か私に説明しろよ。なんなんだよと思いつつもついていくと、そこには屋内テニスコートがあった。
「広い……!!!学校のもかなり大きいと思ってたけど何ここ!すごい!すごい!」
あまりの広さに興奮していると、三人が笑ながら「そうかみょうじは初めて来るんだったな」と準備体操をしはじめた。対戦はグーパーで一人が審判、私は見学。ちなみにラケットもボールもシューズもレンタル。みんなはよく来るのか会員証を提示していた。
普段はマネージャー仕事に追われて、ゆっくり試合なんか見られないからすごく楽しい。こんなに迫力があって、こんなにすごい試合を部活でもしていたのか!そりゃあファンもできますわ。興味のない私でさえ今(かっこいい!!!)なんて思っているのだから。
はじめの方に教えてもらったルールを思い出しながら見ると、心理戦だったりパワーで強行突破だったり、意外と性格がでるんだなって思った。うきうき見ていると、仁王がやってきてさらりと言いやがった。
「見てばかりじゃつまらんじゃろ、参加しんしゃい」
私さっきの歩きでさえいっぱいいっぱいだったよ!でも丸井も切原も「そうだ参加しろ」とうるさいので参加することにした。
「安心しんしゃい、いきなりシングルではやらんよ。ダブルスじゃ」
もちろんペアは言い出した俺じゃき、余裕かましときんしゃい。そう付け加えると、レンタルカウンターまで一緒についてきてくれた。
テニスなんてしたことない私。ボールがラケットに当たらないし、当たってもホームランだし、散々なプレイっぷりだった。でもそんなボールでさえ拾ってくれ取りやすいように打ってくれる。当たればどこへ飛ぼうと誉めてくれるので気にすることなくテニスができた。
今まで何が楽しいんだろうと思っていた。でも何かにハマるという気持ちは物が違えどわかっていたつもりだ。かといってマネージャーをそこまで頑張っていたわけではない。真面目に仕事はしていた、でも業務としてこなしていただけだ。それはテニスを知らないからだったんだって今わかった。
だって、テニスって……テニスって…………こんなにも、
「楽しい!!!!」
そう、楽しい!こんなに下手でも楽しいんだから、上手くなればもっと楽しいだろう。自分が思う場所に返して、自分の作戦で相手を翻弄させて、それで点を取って。だからみんなあんなに過酷な練習もこなして疲れきっていても、帰りには笑顔なんだ。もう少しテニスを知りたくなってきた。
今日、ここに来て良かった!
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