私が何をしたというのだろう。理不尽で執拗な行動に吐き気がする。このままじゃ私もユウジも危ないかもしれない。震える手で携帯を操作する。
『はい』
電話越しに聞こえる声は少し低く感じた。
「いま、また……てが、み……」
頭の中は冷静なつもりだが声がうまく出てこない。詰まりながらも話そうとする私を急かすことなく、うんうんと小さく相槌をうってくれる。それでも中々話すことができないでいると呼び鈴が鳴った。父が帰るには早い。誰だろうという恐怖に、いよいよ言葉は出なくなった。電話を切ることもできず部屋の真ん中で座り込んだまま動けない。少しずつ近く足音に呼吸がはやくなる。ゆっくりとドアが開いた。
「心配で来てもーたわ」
「ユウジ……」
私の手から携帯を抜くと電話を切った。それを机に置くと私の頭をゆっくり撫でた。
「手紙、前も言うてたな」
それってなんなん?と聞かれたので足元を指差した。怪訝そうに拾い広げたと同時に驚いた顔を見せた。
「なんや、これ……」
「一段目のひきだし」
同じように指を指すと開けるでと言ってからそっと開けた。すぐに手紙に気がつき手にとりなんやねんこれと怒った。
昨日も届いたこと。それが私宛でユウジのことだろうこと。これは夕方に届いていたこと。誰かが帰り道後をつけてる気がすること。日中視線を感じること。
話している間はゆっくりでええからって急かされることはなかった。途切れ途切れながらも簡単にだけれども話すことができた。
「なんでもっとはよ言わんねん」
「勘違いかと思って」
「ほんまあほやな」
「うう……」
しばらく一緒に登下校をしてやる、その一言がすごく心強くて安心した。
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