「おや?」
「てっぺんサービスかな!」
観覧車に乗っててっぺんまできた時、動かなくなった。
「私達だけサービスというのは少し考えがたいですね」
「ちょっとやめようか!!!」
考えたくない展開から必死に切りはなそうとしていたのに、さらっと言いやがったな!
「寒いですか?少し顔色が悪いですよ」
どうぞ羽織ってください、と渡された上着。
「やややや柳生君、顔色悪いのは寒いからじゃなくてだね……」
ああ、と頷きゆっくり立ち上り隣に腰を下ろす。
「なにやってんの!向い合わせで良いじゃん!バランス悪いよね!このまま落ちちゃわない!?」
ゆっくりとした動作とはいえグラグラ揺れる。
「ほら、こうすれば怖くないでしょう?」
「あ、うん、そうだね……」
手をきゅっと握られた。純粋な瞳を目の前に、どうしたって怖いなんて言えなかった。
「ここから学校が見えますよ」
ほら、と指差した方向を見ると学校が……
「ちっさ!よく見つけたね!言われても中々見つけれなくない!?私すごいわ!」
「学校をここから見て左に曲がった所に青い屋根あるでしょう」
「うん、たぶん、あれだ」
「美味しいパン屋さんです」
「そうなの!?知らなかった、今度行く!」
「そこから斜め左に公園があります」
「あるね」
「もちっとした生地のクレープ屋さんが来ます」
「なにそれ美味しそう行くわ!!」
ぐうううう
食べ物の話をしていたせいかお腹がなった。それはもう誤魔化せないくらいにハッキリと。
柳生君が何か言おうと口を開いたが、ゆっくりと動き出した観覧車。
「動いた!!!出られる!!!助かったよ!!!」
やったね、ハイタッチを求める。遠慮がちに合わせられた手。
「降りたらご飯食べに行きましょうか」
「そ、そうですね」
忘れてくれて良かったのに!!!
「あ」
「どうしたの?」
「せっかくのてっぺん、キスすれば良かったですね」
もしも密室に二人きりになったら柳生ver.
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