君を守り隊14

翌日、白石は私を見つけるとすぐに「みょうじ!」と大声で呼びながらやってきた。周りのみんなはなにがあったんだと注目したが、すぐになんだお前かと言いたげな顔をして興味を失っていた。


「無事やったんか」

「え、なになに?」

「昨日いきなり電話つながらんくなったから」

「あ、電源切れてん」

すらっとでてきた嘘に自分でも驚きながら白石をなだめる。

「ごめんな、私が変なこと言うたからやんな」

「謝らんでええよ」

「ほんま大丈夫やねん。気にせんとって」

ハッキリそう言ってしまうともう何も言えないと悟ったのか、しぶしぶながらも引き下がってくれた。




日々感じる視線は相変わらず気味が悪い。足音に関しては、人通りが少なく暗い道というのもあって恐怖心は薄まらない。写真や手紙もいつ入れられているのかわからない。さすがにこんな毎日を過ごしていると疲れてくるもので、帰るとすぐに横になるようになった。そろそろお風呂入ろうか、スマホで時間を確認していると画面が切り替わった。着信だ。それが登録されていない番号だったので取らずにいたが、二回三回とかけてくる。何度もかけられる変なセールスとかではなく、知り合いかもしれないと思えてくる。何かあったのかもしれない。そう思いようやく応答ボタンをタップした。

「もしもし……」

『…………』

「聞こえますか?」

『…………』

聞こえてくるのは相手の静かな呼吸だけで何も話そうとしない。私の声は聞こえているはずだと、電話越しなのに空気でわかる。いや神経質になっているからそう感じるのかもしれない。電波が悪くて聞こえていないのかもしれない。そう思いたいが異様な空気を感じてしまい切る。するとすぐにかけなおしてきた。今度は会話ができるかもしれない。そうあってほしかった。

「……はい」

『…………』


やっぱり駄目だ。相手の沈黙に耐えれず電話を切る。またすぐにかかってくるかもしれない。しばらくスマホを睨みつけながら待ってみたが鳴らなかった。諦めたのかもしれない。そっと布団の下に入れてお風呂に入った。




あれから毎日無言電話がかかってくるようになった。ずっと無視していると鳴り続けるので、数回に一度だけとるようにしている。一度でも出ると満足するのかその後は静かになることに気が付いたからだ。

「なんなんですか」

「誰なんですか」

声をかけてみたが相変わらず無言のままだった。スマホが鳴るたびに心臓が跳ね上がるようになった。

着信履歴はその番号であっという間に埋まってしまった。気味が悪くて着信拒否にしたかったが逆恨みされても怖くてそのままにしていた。しかし我慢の限界でいよいよ拒否設定をすると、スマホが鳴ることはなくなった。もう着信に怯えなくてすむと気持ちが楽になった。



翌日また手紙がきていた。

毒 に 注 意

その一言だけ、やはり拒否したことに気がついたに違いない。だからといって解除することもできない。鞄のチャックに鍵をつけ、水筒とお弁当を誰も触れないようにした。

やっと放課後になって部室へ行く。ロッカーに個包装のお菓子がいくつか入っていてゾッとした。やっぱり、ユウジか千歳のどちらかが嫌がらせをしているのかもしれない。



帰ってから手紙を並べてみた。今まで届いた手紙の内容が誰かに対して必死で、その為は私が邪魔なのかなと感じた。初めは怒っているんだと思っていた。でも繰り返し読んでいると悲しみが伝わってくる。隣にいるはずなのは自分なのに違う人がいる、その人が可愛くなくなれば戻ってくるんじゃないか、そんな切ない想いがつまっている気がした。なんでこんなことするんだろうという怒りから、可哀そうだなと思うようになってきた。



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