いつものようにリョーマがテニスに励んでいる姿を見ていた。
が、連日続いた夜更かしにより寝不足だったせいでいつの間にか寝ていたみたいだ。
見回りの先生に起こされて気がついた。
え?私のリョーマは?
窓に勢いよくベタッと貼り付いてもコートにリョーマの姿はない。
しまった!!!
女の子特有の痛みを耐えて外でフェンスにへばりついときゃ良かった!!!
リョーマを見れなかった上に尾行までできないだなんて、しかも今日は金曜日だから土日は会えない。いつもの様に家の外から見る事ができても会うことはない。
やってしまったああああ!!!!
先生は「みょうじ、独り言は心でしろ。それから早く出ろ」と、うなだれている私を教室からぐいぐい押し出すのだった。
ああ、もう今日は何もやる気が出ない。
家を覗きに行く元気……は、あるかもしれない。
トボトボと校門を出る。
「遅い」
ちょっと高めの声、怒っていないけどそっけない台詞。
私は声がした方へ勢いよく振り向く。
「体調でも悪いわけ?」
「リョーマ……リョーマ!私はいよいよ幻覚と幻聴をマスターしたのね!これでいつでも会えるのね!わっほい!!!」
一気にテンションが上がる私。
「元気じゃん」
冷めた目で睨み付けたかと思うとスタスタ歩き出す。
「リョーマに会えたから元気でた!!!」
「そ、良かったね」
「うん!!!ねえねえ私の脳内リョーマ、手繋ごう!手!」
言いながら手にふれようとするが、スッとかわされてしまう。
「わあ、脳内リョーマも本当にリョーマだ。夢は見させてくれないのね」
「あんたの頭沸いてる事は知ってるけど、俺を幻想扱いするのやめてくれない?」
「え、だってリョーマは部活終わって帰ってる時間だもん」
それかあれかな、夢だったと思ってたらそれも夢だった的な?
はあ、と1つ大きくため息をつくと私を睨んで言う。
「今日は姿現さないし帰りも待ち伏せしてないし、でも学校には来てて残ってるらしいから一応心配してあげて待ってたんだけど?」
恥ずかしいのか怒ってるのかよくわからないが、眉間に皺を寄せて早口に言われて私はただ驚くだけでこれはやはり夢なのだと思った。
夢なら夢で良い。君に伝えたい事がある。
「そういうさりげない優しさが、あの日の私を虜にしたんだよ」
そう返すと何の事かわからず、でも思い出そうとする仕草に私は笑みを隠せなかった。
そんな私に「そんな顔もできるんだ」と明後日の方向を見てぼそっと呟いた。
今日はいつもの雰囲気とは違って、温かい空気に包まれながら帰った。
「って、あれ?!?!本当の本当にリョーマだったの?!?!」
「そう言ってるじゃん、あんたやっぱり調子悪いんじゃない」
「恥ずか死する!!!ああでも萌え死ぬかもしれない!!!」
「どっちにしろ死ぬんだ」
「なんにせよやっぱりリョーマはリョーマだ!!!!萌えすぎてどうしよう?!?!」
「うるさい近所迷惑」
激しく動揺する私を無視しバタンと玄関を閉じた。
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