お手洗いから戻ってみても順番はまだまだやってきそうになかった。その様子を見て今日には直らないかもしれないと少しテンションが下がる。切原に近づくとニコっと笑って携帯とチラシを渡してきた。
「何このチラシ」
「さっき店員さんに聞いたんすけど、中のデータは無事らしいっす」
「え?」
「で、これを修理に出すよりも機種変更した方が早いし安いらしいっすよ」
私がポカンとしているのに気がつかないのか切原はそのまま話を続ける。
「それでそのチラシなんすけど一個前のデザインだから安いらしくて。あ、でも機能的には新作と大差ないらしいっす。まあ機種変更にしろ修理にしろ順番待ちなんで、変更の方の整理券もらっておきました。98番っす」
あれ、なんやろこの違和感。
なんで?切原ってちょっとおバカな子じゃなかったん?
何で店員さんに相談してるの、何整理券なんてもらちゃってんの。なにこれなにこれ。すごく、すごく……。
「萌えるんですけど!!!!!!」
私の突然の叫びに目の前の切原はもちろん周りにいた人達も驚いて一気に視線を集める。
でも今の私にはそんな事なんて気にならなくて。
切原は可愛いと思ってはいたけど、こんなに可愛いって知らなかった自分を恨みながら完全にギャップにやられた。
今までの私に言いたい。お前、もったいないことしていたな!!!と。
何が「うちにおたんに一途やから!」や。ということはもしかしたらまだまだ萌えるキャラがおるのかもしれない。
とりあえず。この萌えたぎる想いを伝えたい!!!
「うわあっ」
勢いよく抱きついた私に切原は戸惑っていたが、ぎゅうぎゅうと締め付け放すつもりがない事を察するとそっと背中に両手をまわしてくれた。
その時聞こえてきた声。
「98番、98番の方、お待たせいたしました」
「はい!はーい!!」
やっと周ってきたー携帯どうにかしてーと係りの人に駆け寄る。
いきなり抱きつかれていきなり突き放された切原はしばらくその場に立ち尽くしていたことを私は知らない。
「は〜疲れたね」
「まあでも思ってたよりも早く終わったし、連絡取れるようになったし良かったじゃないすか」
「せやね!さっそく電話してもええかな?」
「っす。お茶入れてくるんで話しててください」
一度切原の家に戻ってきて一息つく。
何時間も付き合わせてしまって申し訳なかったな。うん、今度何かお礼をしよう。
さてと、ちよに電話やな。
たった一つしか入っていない番号を発信する。
するとたったワンコールで出た。
「もしもしちよ!?」
『なまえー!!全然連絡とれへんからどうしてんかと思った!』
「色々あったんやてー!ちょお聞いてや。てかちよ今電話いけんの?そっちの話も聞きたいんやけど。え、てかいつぶり?いつぶりですか??」
『落ち着け!順番を追って話をしよう』
「せ、せやんね」
『まずなまえから話して。電話急に切れてから繋がらへんからやー心配してんで?』
ちよ……!!!あの時何楽しそうにしてんだこらとか思ってごめんやで!!!!
心の中で頭を下げつつ話を進めた。
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