次の日の昼休み。
「よう、ここ良いか?」
私の机にお弁当を持ってきたのは久しぶりに見る顔だった。
「仁王じゃん、どうしたの?」
もちろん良いよとスペースを広げるとお弁当を置き座った。
「面白い話を聞いたんでな」
「へー!なんだろ」
面白い話がまさか私の話とは思わなくて、わくわくとしながらお弁当に手をつけた。
「で、誰にあげるんじゃ?」
「いきなりなんの話よ」
面白い話はどこいった。
「バレンタイン誰かにあげるんじゃろ?」
「あー……赤也に聞いた?」
「プリっ」
でもなー誰にって聞かれても決まってないしな。
「知らんかったぜよ、なまえに好きな人がいるなんて」
探るような瞳にゆっくり上がる口元。
うう、どうしよう。好きな人なんていないとは言えない雰囲気だ。
「もしかして面白い話ってそれ?」
「ああ」
「なんだ仁王の面白い話って言うから期待した」
ガッカリだ。
「話そらさんでほしいのう。こっちにも色々あるんじゃ」
「色々ってなによ、私関係ないでしょ」
私がこれ以上何も話す気はない、というのがわかったのか、また来るぜよと恐ろしい一言を残して去っていった。
いったい何だったんだろう。
試作一日目
試作をしようと家庭科室を向かう途中だった。
「やあみょうじさん」
「あれ?幸村君だ、久しぶりだね」
「聞きたいことがあってね」
「昨日、仁王も同じようなこと言って来たよ」
「へえ、仁王がねえ」
くすりと笑った幸村君はこわかった。
「バレンタインの事なら何も話すことないよ」
聞かれるであろう事を先に返事すると、肩をすくめて困ったと一言。
「仁王といい幸村君といいなんなの?」
「ただみょうじさんからのバレンタインが欲しいだけだよ」
「はあ??」
意味がわからない。
私なんかから貰わなくても、食べきれないくらい貰うだろうし。
仁王はともかく幸村君あんま話したことないじゃん。
「みょうじさんからのチョコだから意味があるんだよ」
「心を読まないでください、それより部活遅れるよ」
「俺ってそんなに魅力ないかな」
右斜め下を悲しそうに見つめている。
そ、そんな顔しても騙されないんだからね!
「みんなが待ってるから行かないと」
「みょうじさん!俺のこと、視野に入れといてね!」
走り去る私の背中に声をかけてきているが気にしない!
あれ以上彼といると気がおかしくなりそうだ。
ダッシュで家庭科室へ向かった。
back もくじ next