渡したいものがある2

次の日の昼休み。

「よう、ここ良いか?」

私の机にお弁当を持ってきたのは久しぶりに見る顔だった。

「仁王じゃん、どうしたの?」

もちろん良いよとスペースを広げるとお弁当を置き座った。

「面白い話を聞いたんでな」

「へー!なんだろ」

面白い話がまさか私の話とは思わなくて、わくわくとしながらお弁当に手をつけた。

「で、誰にあげるんじゃ?」

「いきなりなんの話よ」

面白い話はどこいった。

「バレンタイン誰かにあげるんじゃろ?」

「あー……赤也に聞いた?」

「プリっ」

でもなー誰にって聞かれても決まってないしな。

「知らんかったぜよ、なまえに好きな人がいるなんて」

探るような瞳にゆっくり上がる口元。

うう、どうしよう。好きな人なんていないとは言えない雰囲気だ。

「もしかして面白い話ってそれ?」

「ああ」

「なんだ仁王の面白い話って言うから期待した」

ガッカリだ。

「話そらさんでほしいのう。こっちにも色々あるんじゃ」

「色々ってなによ、私関係ないでしょ」

私がこれ以上何も話す気はない、というのがわかったのか、また来るぜよと恐ろしい一言を残して去っていった。

いったい何だったんだろう。



試作一日目



試作をしようと家庭科室を向かう途中だった。


「やあみょうじさん」

「あれ?幸村君だ、久しぶりだね」

「聞きたいことがあってね」

「昨日、仁王も同じようなこと言って来たよ」

「へえ、仁王がねえ」

くすりと笑った幸村君はこわかった。

「バレンタインの事なら何も話すことないよ」

聞かれるであろう事を先に返事すると、肩をすくめて困ったと一言。

「仁王といい幸村君といいなんなの?」

「ただみょうじさんからのバレンタインが欲しいだけだよ」

「はあ??」

意味がわからない。
私なんかから貰わなくても、食べきれないくらい貰うだろうし。
仁王はともかく幸村君あんま話したことないじゃん。

「みょうじさんからのチョコだから意味があるんだよ」

「心を読まないでください、それより部活遅れるよ」

「俺ってそんなに魅力ないかな」

右斜め下を悲しそうに見つめている。
そ、そんな顔しても騙されないんだからね!

「みんなが待ってるから行かないと」

「みょうじさん!俺のこと、視野に入れといてね!」

走り去る私の背中に声をかけてきているが気にしない!
あれ以上彼といると気がおかしくなりそうだ。
ダッシュで家庭科室へ向かった。



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