渡したいものがある3

試作二日目


昨日はスポンジのキメが粗かったので今日はそこを克服したい。
そう思って家庭科室へ向かう途中……。

「みょうじ」

「真田!どうしたの?」

珍しいなあ、私に用事なんて。
一年の時は同じクラスでよく勉強教えてもらったんだけど最近はあまり会わないな。


「うむ、バレンタインなんだが」

「は!?」

「なんだ?」

「真田からバレンタインという単語が出るだなんて」

私は驚きですわ。

「その、本命はいるのか?」

さらに驚き。
私の本命を気にしてどうするの。

「……もしかして幸村君に聞いてこいって言われた?」

そう問えば明らかに動揺するわかりやすい男。

「い、いや、そんな事言われてないぞ!」

「じゃあ何で真田がそんな事気にするのよ」

「う、うむ。欲しいと言うように言われてだな」

「やっぱり幸村君でしょ」

言われてってもう白状しちゃってるじゃん。
真田って案外天然なのね。

「なに企んでるか知らないけど誰にあげるかは内緒ですー」

だって私にもわからないんだものなんて言えない。





試作三日目


「みょうじ」

連日放課後に呼ばれる事にそろそろ慣れてきた。
ふり向けばやはり知った顔。

「……柳も関わってるの?」

ちょっと意外かも。

「データからしても誰にあげるのかわからなくてな」

お手上げだといった感じだ。

「なんで私のデータまでとってんのよ」

「興味深くて参加させてもらった」

「無視か」

大体あんたにわかるわけがないだろ!

「やはり答えてくれないのか」

最後らへん何か言っていた気がするが、無視して家庭科室へと向かうのだった。



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