神社の守り神様6

靴を履き替えて外に出ると、少し遠くの方で人だかりができているのが見えた。特に女の子が多くて、キャーという歓声が聞こえる。

「有名な人が来てるのかな?」

そんな私の疑問にちよは笑って言った。

「そうだね、有名人だよ」

見に行こう、とちよに腕をひっぱられる。テニス部を見に行くんじゃなかったのか、そんな疑問を口にすることができないくらいのスピードだ。ギャラリーができている場所から少しズレたところ。それでも人はそれなりにいたので押しのけながら進むと、フェンスに突き当たった。ちよに「あそこ見てごらん」そう指さした場所へ目を向けると、あの銀髪と赤髪が見えた。

「あ!仁王と丸井!」

「そ、さっき説明したレギュラーの人達だよ」

「人気って聞いたけど、まさか、こんなにとは……」

芸能人レベルでファンがいるだなんて思ってもいなかった。目立たないようにしているけど他校の人だっている。呆気に取られていると、ジャージを羽織っているのが部長の幸村で、と説明しだしたちよ。あわてて聞く態勢に入りさきほどの情報と照らし合わせていく。

「それでね」

一通り聞いたところでぼそり呟いたちよの声を逃さないように集中する。

「私が好きなのは、柳生君だよ」

どの人かわかる?と聞かれたので「仁王とダブルスを組んでる眼鏡の人」と答えた。もう覚えたなんてすごいと拍手をもらい、なまえにしか教えてないから内緒だよと言われた。転入初日に秘密にすることがすでに二つになってしまった。わかったと答えたらちよは意地悪な顔で言った。

「まあ、もしバラしたら私も言いまわるけどね」

「なにを?」

もちろん誰かに言うつもりなんてないが、あたかも私の秘密を握っていますという言い方をされると気になってしまう。今朝ねぼけて電柱にぶつかったことか、二時間目まで上靴を左右逆に履いていたことか……。恥ずかしい出来事を思い返していると意外なことをサラリと言われた。

「なまえが好きな人は仁王ですって」

「え?えええええ!?」

「わかりやすいな〜一目ぼれってやつ?」

「ち、違うよ!そんなんじゃないよ!」

力一杯否定すると「じゃあ丸井か」と聞かれたので、なんでそうなるのかと半泣きになってしまった。

「だって丸井と話してるときも、さっきも、仁王のことばっかり聞いてたじゃん」

「そ、れは……なんか、変わってるなと思って」

「あー確かに、なんかちょっと人と違うよね」

人と違う、の言葉に自分のことではないのにハラハラしてしまった。その様子をなにか勘違いしたのか勇気づける言葉をかけてくれた。

「好きになるキッカケなんてなんでも良いんだよ、応援するから」

「お、おお?」

違うように解釈してくれて良かったのかなんなのか……情けない返事しかできなかった。



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