お昼休み、食事が終わったところでお手洗いに行くとちよに声をかけて教室を出る。近くにあるお手洗いは混んでいたため少し離れた場所へ移動した。その帰り道、また彼らに会った。
「あ、この前の」
その言葉に振り替えるとテニス部の人たちだった。
「あの時はお邪魔しました、ありがとうございました」
「あはは、良いよ」
「困ったら仁王と丸井に助けてもらえ」
「はい」
「みょうじだったな」
部長、副部長ときてデータ収集家の人。この三人が並ぶと圧がすごいなと感じ思わず逃げ腰になってしまう。
「仁王は知り合いなのか?」
「あ、それ俺も気になってたんだよね」
「いいえ」
首を横にふると、柳君はふむと言いなにか考え出した。あまり話を広げられると嘘がバレそうでこわい。その場を去ろうとしたが止められてしまった。
「でも仲良いよね」
幸村君の言葉に確かにそう見えたと真田君が同意した。
「ちょっと人違いしちゃっただけです」
「あれをか?」
「丸井から聞いてる話だと仲良そうなんだけどな」
あんな独特な人を間違えるのか、と不思議そうにしている真田君は無視することにした。それより幸村くんの言う話はどんなことを聞いてるのかわからないけど、まだ会って一ヶ月経とうとしているところだ。まだ仲良いとは言い難い。会話もどことなくギクシャクする、というか私が緊張する。反応に困っていると柳君が説明してくれた。
「仁王はあまり異性と関わりたがらないんだ」
「え、そうなんですか?」
思い返してみるとちよと直接会話をしているところをまだ見たことがない気がする。
「みょうじとは話しをすると聞いた」
「あー、まあ、でも親しさで言うなら丸井の方かと」
「丸井は誰にでも馴れ馴れしいからね」
幸村君の言い方に棘はないはずだが使われた単語に苦笑しか返せない。
「歓迎会の案もみょうじからだと聞いた」
「それは話の流れで特に深い意味はないです」
真田君の威圧感に探られているのでは、という気持ちになって思わず一歩下がってしまった。
「そんなに緊張しないで、丸井も俺達も興味があるだけなんだ」
幸村君が柔らかい笑みを向けてくれたので少し安心した。それにしても興味ってなんだ。聞いてみると、仁王と会話をする女の子がどんな子なのかというただの好奇心だと言う。だから丸井は初めからグイグイと声をかけてきたんだと納得した。
「私はただのどこにでもいる女ですううううううう」
柳君がペンを片手にノートを広げたので、尋問されるのではと思い言い逃げしてきた。興味もってもらえるような女じゃない、自分で言って悲しくなった。
さきほど言われたことが本当なら、私は秘密を知ってしまったから話やすいのかもしれないなと思った。秘密は距離を短くするって言うとなんかの本に書いてあった。再会する、同じクラスになるってわかってたら秘密を聞くことなんて一生なかったんだろう。
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