「あ〜だるい〜」
やる気のない声に対して元気そうな声が返ってくる。
「五月病ってやつじゃな」
「んだよ、仁王なんて一年中覇気ないのに」
「五月は割と好きぜよ」
変わってんな、そう言いながら丸井は私にも話をふってきた。
「みょうじも新しい環境に疲れでてるんじゃねーの?」
「そうだね、電車通学が初めてだからちょっと疲れてきたかも」
「今まで徒歩なん?」
「ううん、自転車」
ちゃんとヘルメット被らないとすごい怒られた。そう話すと、わかるけどダサいよなって笑われた。この学校来てる人はほとんどが電車通学だろうなという話になり、丸井に最寄はどこか聞かれた。言っていいものかわからなくて仁王を見ると肩をすくめたので、了解を得たととらえて答えた。
「あれ?じゃあ仁王と近所?」
「え〜そうなの?」
わざとらしくないように私は知りませんという態度をとる。仁王は満足そうに俺も同じ最寄りだと言った。
「じゃあ、やっぱり会ったことあるのかもな」
「え?」
「ほら、みょうじ誰かと仁王間違えてたじゃん」
「あー、初日ね」
「そ、本当に仁王だったのかもな」
忘れてるだけじゃねーの、と仁王に話をふるとピヨっと鳴いた。話を変えた方が良いのかなと思い話題を探したけど思いつかない。幸い丸井はもう興味は失ったみたいで、腹減った焼肉食べたいと言い出した。
「あ〜言われたら食べたくなっちゃう」
「だよな、いつもクリームブリュレでしめるんだ」
「ご飯じゃなくてデザートなんだね」
「だから太るんじゃ」
「太くねーし!」
そりゃ仁王に比べたら丸井の方がぷにっとはしてるけど……それで太いだなんて私はどうなるんだ。
「仁王も焼肉好きなの?」
「おん、肉に始まり肉でしめる」
「ひたすらお肉……」
「みょうじはどうなんじゃ」
「私は……お肉も好きだけどサイドも好きだよ。ナムル、キムチ、スープ、ビビンバ、冷麺……」
「ビビンバをサイド扱いって中々見込みあるな」
「え!メインはお肉でしょ?」
なんか私大食いみたいになってないか、慌ててそうじゃないんだと訂正した。
「ま、今度みんなで行こうぜ焼肉」
「ええのう」
「わ、私も行きたい!ちよも誘いたい!」
「俺は良いぜ、大勢の方が楽しくて好き」
「俺も食べれたらなんでもいい」
そう返した仁王に丸井は驚いた顔をした。なんでかなと思ったけど後でこっそり教えてくれた。いつもなら女が来るなら行かないって言うんだ、やっぱりお前らなんかあるだろ。ついでになにやら疑われたので、私女っぽくないからかもねって答えといた。自分で言いながら悲しくなった。
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