解散の流れになった時、丸井がとんでもないことを言った。
「仁王はみょうじと帰るだろ?」
「なんでか聞いてもいいか?」
それにすぐさま反応したのは柳君だった。私が止めようとするもむなしく、最寄りが同じことを話してしまった。ついでに信仰心があるとも話していた。人の情報を勝手にペラペラと……それをご丁寧にノートにメモしている柳君、一体その情報をどうするつもりだというのだ。唖然としていると幸村君が話かけてきた。
「そっか、だから仲が良いんだね」
「いやいやいや!学校でしか会ったことないんですけど」
「家は近くないの?」
「仁王の家がどこか存じ上げません」
「じゃあ今日わかるね」
一緒に帰るのは悪いからと反対したが、夕方とはいえ一人より二人で帰る方が良いと言われた。
「でも……」
「僕からのお願い、皆もその方が安心できるから」
そんな言い方をされてはもう何も言えない。でも仁王は嫌じゃないのだろうか、横目で様子を伺うとバッチリ目があってしまった。
「帰るか」
「う、うん!」
「ちゃんと送ってくださいね」
「じゃあ柳生はそっち送るんじゃな」
「……ええ、もちろん」
柳生君が心配そうに声をかけてきた。仁王はどこまでわかっているのか、はたまた偶然なのか良い働きをしてくれる。ちよがあわあわしていたので、小さくガッツポーズを送った。
電車の中では帰宅ラッシュにあたり話す雰囲気ではなかった。降りてからどっちか聞かれ、神社の方を指さした。歩き出した仁王の後ろをついていく。神社の辺りにさしかかると立ち止まった。少し体を固くしたまま動かない。
「仁王?どうしたの?」
蛇でもいたのか、前を見ようと横に移動する。そこには神社で会ったおじいさんがいた。
「あ、こんばんは」
「こんばんは」
おじいさんも覚えていてくれたのかニコニコと挨拶してくれた。
「……知り合いか?」
「えっと、今日神社でお会いしたの」
その時にほんの少しお話したと答えると苦い顔をされた。
「悪い、最後まで送れんが帰れるか?」
「あ、うん、大丈夫だよ」
「すまんな」
「ううん、じゃあまたね」
おじいさんにはさようならと声をかけ、その場を後にした。仁王とおじいさんはやはり何か関係があるのだろうか。少し仁王が緊張していたように見えたのは気のせいだろうか。気になって何度も振り返りたくなったけど、今あの二人を見るともう二度と仁王と会えない気がして走って帰った。
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