雨の日が増え、じめじめとした季節になってきた。今日は一週間ぶりの晴れ。空気を吸おうと、初めて屋上へ出てみる。真っ先に目に飛び込んできたガーデニング。こんなにお花が咲いているのを知っていたらもっと来たのに、そう思いながら一つ一つゆっくり見ていると扉の開く音がする。振り返ると仁王がいた。
「おはよう」
「はよ」
「なにしてるの?」
「別に、良い天気だったから」
「久しぶりに晴れたもんね」
仁王はフェンスに寄りかかりシャボン玉を吹き始めた。ふわふわと空に飛んでいくと自然に会話が止まる。パチンとはじけたところで我に返った。
「そうえいば来週田植え体験だね」
「中学生でやるってのも珍しい」
「そうなの?私、初めてだから結構楽しみなんだ」
「ほお……ほな安心しんしゃい、俺がおれば絶対豊作じゃき」
「そうなの?仁王は田植え得意なんだ」
「……そうじゃなか」
心なしか恨めしそうな目で睨まれている気がする。そういうことじゃないのか、でもこれ以上聞けなくて「安心してるね」とだけ返す。仁王はまたシャボン玉を吹き始めた。
田植えの日、とても快晴だった。
太陽の光をたっぷりあびた草と土と水の混じった匂い。嗅ぎなれているわけではないのに、不思議とホッとする。各班に配られた苗を見て驚いた。
「た、束になってる!」
「……どうなってると思ったんじゃ?」
「一本一本植えていくんじゃないの?この束のまま植えるの?」
「お前、そんなの一生終わらねーだろい」
束を握ったまま驚いていると丸井に笑われた。だって初めてだもん、そう呟くとちよがドンマイって励ましてくれた。
「悪いって、美味しい米食えるから楽しく植えようぜ」
「え!食べるとこまでできるの?」
「そうだよ〜頑張ろうね!」
植えて終わりだと思っていたので食べられると聞いてテンションが上がる。それを見た仁王は、しょげたり喜んだり大忙しじゃなって笑っていた。仁王の笑顔を見れるのが嬉しくて私は更に張り切った。
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