神社の守り神様24

焼くスペースは暗黙の了解みたいな感じで、何も言わなくても自然と割り振られた。私はガツガツ食べられないので、二枚焼いて食べての繰り返しだ。その分ペースが遅くなるため、自分のお皿にはまだお肉が残っている。しかし周りはおかわりに立つ人もちらほら出てきた。その空気に焦って早く食べようとすると、幸村君がゆっくりで良いよと声をかけてくれた。

「ついつられちゃう、目の前丸井だしよけいに」

「確かに一人ペースおかしいよね」

「隣が幸村君とちよで良かったよ、どっちか赤也君だったら私もうパニックになっちゃう」

簡単に想像できると笑う幸村君。第一印象はちょっと怖かったけど、すごく優しくて暖かい人だなと今はわかる。

「そういえばビビンバとか冷麺はオーダーしたら良いみたいだよ」

「食べたい!けど一人じゃ食べきれないから悩むな」

「ミニサイズだけど……じゃあ俺と半分にしない?」

「いいの?」

実はちょっと食べたかったんだ、と言ってくれたのでお言葉に甘えることにした。幸村君はおかわりついでに頼んでくるね、と席を立った。私も飲み物を取りに行きたくて、焼いた分だけ食べてドリンクバーへ行く。

「ねえ、最初ジュースにしたんだけどお腹すごくふくれる」

「あーなりそう、私はずっと烏龍茶にしてる」

なんとなく油分解してくれそうだからと話したら、ちよはなるほどと言って烏龍茶を入れていた。

「この後すぐ解散かなー?」

「たぶん、そうだよね」

きっとみんな疲れてるしと答えたら、もう少し柳生君と話がしたかったと残念そうに溜息をついた。この後お祭りに行くことは内緒にする必要はないんだろうけど、二人だけの想い出にしたくて黙っておいた。

席に戻りしばらくするとビビンバと冷麺が運ばれた。それにすぐさま反応したのは丸井だった。

「え!そんなのあんの?誰の?」

「私とお母さ……じゃなかった、ごめんなさい幸村君」

言いながら間違いに気づきすぐさま謝る。幸村君は気を悪くするどころか涙を拭うくらいに笑っていた。

「みょうじさんおかしすぎ、あんまり笑わせないで」

「私としては笑ってくれて良かったよ」

ホッと一安心していると丸井が半分こすんのかと聞いてきたのでそうだよと答えた。仲良かったんだなって目をまん丸にしてるけどそんなに意外なのか。仲が良い、というよりかは単純に幸村君が面倒見が良いだけだ。でもそのおかげで私は幸村君といると落ち着くし自然と甘えてしまう。今ももう一度謝るのをやめて一緒に笑ってしまった。でも次の一言で、一瞬で体が冷えた気がした。

「一人で食べれる量を頼みんしゃい」

「真面目か!」

仁王のセリフにすぐさま突っ込みを入れたのは柳生君だった。

「ちょ、柳生君、そんなキャラだっけ?!」

ひーひー言いながら笑っているのはちよだった。真っ赤な顔をしている柳生君、きっと無理をして慣れないことをしたんだとわかる。そうさせたのは仁王の言葉にすごく棘があったからだ。うかれすぎたかもしれない、仁王に嫌われたかもしれない。泣きそうなのを堪えて烏龍茶を飲み込んだ。幸村君は肩をすくめ、気にしなくて良いよ食べようとお椀に半分入れてくれた。



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