神社の守り神様26

今週の金曜日、いよいよ田植え体験の当番がやってきた。

「明後日田んぼの様子見に行くけど、どっちが来れるの?」

「俺も仁王も行く」

ちよの問いに丸井が返した。オッケーと返すちよになにか引っかかる。なんだっけと記憶をさかのぼって思い出す。

「あれ?どっちかしか来れないって言ってなかった?」

「一日抜けたところで負けるような選手ここにはいないって幸村が言うとった」

「わあ……プレッシャーのような嬉しいような」

「幸村君の言う通りだなと思って、だからみんなで行こなー」

そう言って笑う丸井は子供みたいで、全国大会のプレッシャーなんか感じていないようだった。




当日の放課後、先生が車を出してくれるので遠慮なく乗り込む。

「今日はついてたなー」

「カンカン照りですもんね」

先生の言葉にちよがすぐさま返事をした。そう、田んぼの様子を見に行くのに久しぶりに晴れたのだ。到着すると私たちの代わりに毎日稲を守ってくれている農家の人が出迎えてくれた。今日は晴れて良かったですねと穏やかな声で話かけられた。

「今日は見事に晴れましたね」

「ええ、良かったです」

とりあえず周りましょうか、とみんなで田んぼを一つ一つチェックしていく。
最近は中々晴れないからどうしようかと思ってたんです、という農家の人の言葉に最近の稲はどんな感じだったかを聞いた。今見る限りではピンと伸びていて元気そのものという感じだが、雨が続いていたから昨日まではしょんぼりという言葉がピッタリなくらい元気がなかったらしい。雨と日光のバランスが大事らしく、ここ三年間はとくに上手に育っていると嬉しそうに話してくれた。

各班の田んぼを写真に収めていると、仁王が山の方に向かって軽く手を上げペコリとお辞儀をした。私もその先に目をやるが何も見えない。よくわからないけど私も頭を下げてみる。顔を上げると仁王と目が合った。

「なにしとん」

「いや、なんとなく……なんか偉い人がいるんだろうなと思って」

「そうじゃけど、見えるん?」

「なにも」

首を横にふると仁王は笑かすなと言ってしばらく笑っていた。なにがそんなにおもしろかったのかわからないけど、私までおかしくなってきて一緒に笑った。丸井とちよには真面目にやれと怒られてしまい慌てて自分の仕事に戻った。



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