夢を見た。すごく懐かしい夢だった。
気が付くと私は神社にいた。前に住んでいた地主神様のいる神社。
そこは大きな場所で他の地域からも参拝に訪れる人が多い。遊具が置いてあり自由に遊べるスペースがある。ただ他の参拝者に迷惑にならないようにと、見落としやすい隅の方にある。いつも一人で行ってうさぎの石像を撫でてからシャボン玉を吹いて遊んでいた。
この日も変わりなく同じ流れで過ごしていた、動物が喧嘩を始めてしまうまでは。
目の前で大きな犬がうさぎに飛びついたのでとっさに犬へ体当たりをしたが、すぐに反撃をされ犬が覆いかぶさる。この時どうなったか記憶があまりない。
気が付くと小さなきつねを抱いたおじいさんが頭をなでてくれた。
「いつもありがとう、また来てね」
「うん!」
すごく優しい顔をしたおじいさんと、目を真ん丸にしたきつねがすごく印象的だった。
目が覚めて、しばらく夢の内容を思い出すように目をつむったまま布団を頭までスッポリかぶる。ちょうど夢の中の私と同じくらいの時に同じ夢を見たことがあった。すごく久しぶり、というには長い時間を経て一分の狂いもない内容を見るなんて不思議なこともあるものだ。しかし思い出せば思い出すほど『不思議』だけでは言い訳がつかないことに気が付く。
あのおじいさんは、ここの神社で会ったあのおじいさんと同じ顔だった。
気のせいだと思いたいが一度その思考になってしまうと止まらない。
もう一度おじいさんに会って確かめたい。そう思い着替えて朝ごはんも食べずに家を出た。もし仁王と出くわしてしまったら、そんな不安もあったが知りたいという気持ちの方が大きかった。階段を上りながら少しずつ見える鳥居に緊張して手を強く握る。おじいさんは仁王はいるだろうか、もしいたらどう声をかけようか。そんなことを考えていたから拍子抜けだった。誰もいなかった時のことなんて考えていなかった。
「でも、せっかく来たしな」
鞄に入っていた未開封のグラノーラチョコをお供えし、神様に挨拶をする。少し下がってからまた戻りチョコを持ち上げる。こんな間に合わせの物、それも女子受けであろう物を置いて逆に失礼かなとも思ったが、無いよりは気持ちだし……そう思いもう一度置いた。
神社を出る前に一礼をしてから下りようと後ろを向く。
その時、カサカサと音がした。誰かいる気配もする。もし振り返ってそこに仁王がいたらどんな顔をしたら良いのかわからなくて、ふりかえることなくゆっくり下りた。
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