覚悟を決めてしまえば一日でも早く伝えたい、という焦りすらでてくるから不思議なものだ。でも告白する前にどうしても行きたい場所があった。それは恋愛成就として有名な前の神社だ。日曜日の朝早くに用意をして家を出た。電車で揺られること二時間、改札を出て見える風景に懐かしいと感じた。離れて一年も経っていないのにすっかり今の生活が自分に馴染んだということなんだろう。
慣れた足取りで神社へ着くと正式なルートでお参りをすませる。最後に待っているのは兎の像、小さいころはただ可愛いという理由だけで撫でいた。願いを込めながら撫でると叶う兎だと知ったのは割と最近のことだ。
私は一礼すると、お久しぶりです、と挨拶から始め仁王との恋愛成就を願った。
別の神社の神使との恋愛をお願いしにくるなんて非常識かもしれない。そんな思いもあったが、ここの神様は私の味方でいてくれるんじゃないかと勝手に思っている。理由なんてものはないけど、ここに来ると帰ってきたと感じるし温かく包まれているような感覚に陥る。ただそれだけでなんとなく、神様が近くで見守ってくれているんだと思えた。
翌日、告白をするという緊張でいっぱいのまま教室へ入った。
散々この休みの間どう呼び出してどう伝えるかをイメージした。だから大丈夫、そう言い聞かせても鼓動は早いまま。ちよにもなんかぎこちないけど筋肉痛かと聞かれてしまった。
お昼のあと天気が良ければ屋上へ行く癖を知っていたので、今日その時に思っていたのに仁王はずっと教室にいた。もしかして神使ってそんなことまでわかるのだろうかと少し不安になる。
「みょうじ」
「はい」
なので名前を呼ばれた時は思わず姿勢を正してしまった。
「体調悪いんか?」
「ううん、昨日ちょっぴり遠出したから疲れてるだけ」
「なんかあったら無理せんと言いんしゃい」
「そうする、ありがとう」
私の想いには気づいていないのか知らないフリをしているのかわからないが、いつも通りの態度に心配しすぎたかなと安心した。
ちよに心配で出て行かないのかもねとこっそり言われ、違うと思ってもそうなのかなと少し期待してしまっている自分がいる。とにかく今は言うタイミングを失ってしまった。こうなるともう放課後にかけるしかない。
「ちよは今日もテニス部見て帰るの?」
「うん、そのまま一緒に帰る約束してるの!」
「順調なんだね。私も一緒に見ようかな」
「行こ行こ!すごい久しぶりだよね」
「人の多さとおたけびがしんどくて中々近づけないんだよね」
「あーそれはわかるな」
今日は人の少ない場所で見ようとちよが提案してくれた。人が少ないということは見にくい場所ということなんだけど、一緒に楽しく見れる方が大事だと言ってくれたので好きという気持ちをこめてギュッと抱き着いた。
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