神社の守り神様36

人が少ない場所は一年生がメインで動く場所らしく、レギュラーのみんなは小さくしか見えなかった。ちよに謝ったけど、大丈夫だと言ってカバンから双眼鏡を出してきたので驚いた。一緒に使おうと言われたけどそれこそ大丈夫だと言った。見ている間も何度か話かけられたが、この後のことを考えると耳に入らなくて浮ついた返事しかできなかった。

部活が終わりみんながゾロゾロと部室へ戻っていく。どうやって仁王と二人になるか考えているとちよがスマホを片手に言った。

「なまえは仁王と帰るよね?」

「え、あー……考えてなかった」

ちよの言葉に一緒に帰れば二人になれるなと気が付く。どう伝えるかで頭がいっぱいで、そんな簡単なことが思いつかなかった。

「柳生君になまえといるって送ったらそのまま二人で待つように言われたけど」

「ということは?」

「ほぼ間違いなく仁王も来るよね」

「そう、なるよね」

「……まだ仲直りしきってない?先に帰る?」

「ううん!仲直りできた!仁王と帰る!」

「そっか、じゃあわかりやすいように校門で待ってよ」

まちぶせたようで気が引けてしまい、少し渋ってしまうと心配されてしまった。まあ、まちぶせしているには間違いないんだけれども……計画したように告白すると仁王も引くかなという不安が今さらわいてきてしまった。だからと言ってやっぱり先に帰るとか告白はやめておこう、とはしない辺り私は焦っているのかもしれない。

校門前で待つこと数分、柳生君が「お待たせしました」と言いながらやってきた。仁王も並んで歩いてきたけどなにも言わなかった。それに対し柳生君が「ちゃんと送ってあげるんですよ」と声をかけ、そのままちよとその場を離れた。

「えっと、一緒に帰っても良いかな?」

「おん」

すっと差し出された手に、これは手をつなごうという意味なのかなと思いながらも仁王の顔をチラリと見る。

「あの、これは?」

「しんどいんじゃろ?荷物持ったる」

「あ、あー、そういうね、意味ね」

「ええんか?」

「うん、教科書置いてきたし軽いもん」

「悪い子じゃな」

意外だと笑う仁王。その時私は勘違いしたまま手を重ねなくて良かったと安心すると同時に、勘違いしたままなら手をつなげたかもしれないという残念さで葛藤していた。



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