お昼休み、みょうじはどうするんだと思っていたが、鞄からお弁当箱を取り出すのを確認した。見覚えのある物だったので、きっと母が用意したんだろう。それなら通うことになっていると一言あっても良かったのでは、と思ってしまった。これは帰ったら文句を言ってやらねばいけない。そう思いながら仁王と屋上へ出た。
「はー、やっぱ飯くらい外が良いよな」
「わかる、ずっと教室おったら息詰まる」
思い切り伸びをしてから座る。その隣で仁王はパックジュースを開けながら聞いてきた。
「で、どういう関係なんじゃ?」
「なにが?」
「しらばっくれなさんな、あの転入生じゃ」
「あー、先生も言ってた通りご近所さんだな」
「みょうじさんのお弁当の袋って丸井も持ってたよな」
「あんなの大量生産されてるやつじゃん」
なんとか一つ一つ交わしていくと、諦めたのか黙ってご飯を食べ始めた。俺も弁当を食べ、デザートのメロンパンを取り出す。
「よお食うの」
「これは別腹」
「みょうじさんも同じメロンパン持ってたなり」
「は!?俺のなのにくっそ〜!」
期間限定のメロンパンがすごく美味しかったから昨日買いだめしたところだ。それなのに勝手にあげてしまうなんて、母に言う文句が増えてしまった。それより買いなおしをしなければいけないが、まだ売っているだろうかと心配になる。とりあえず今はこれを味わって食べようとスピードを落とした。一口一口噛みしめていたが、静かに笑っている仁王に気が付く。
「どうしたんだよ」
「みょうじさん、一緒に住んでるんじゃな」
「はあ?」
冷たく聞こえるように返事をしたが内心焦った。なんでバレたんだ。
「メロンパン、持っとらんかったよ」
「え?」
「カマかけただけじゃ」
「どういう……」
どういう意味だと言おうとしてようやくわかった。
「だああああ!はめられた!!!」
「誰にも言わんぜよ、その代わりどういうことか聞かせてほしいなり」
「絶対言うなよ!あと俺も何もわかってないから今度な」
「ピヨッ」
今説明できることは、昨日いきなり我が家にやってきたということだけだった。興味津々の仁王は「楽しみにしてるなり」とわくわくした表情をしていた。
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