部活も終わり着替えている時、一日ひやひやしていたせいか疲れを感じていた。
「丸井、いつもより動きが鈍かったな」
そう声をかけてきたのは柳だった。
「そんな時もある、だって人間だもの」
「自覚しているならいいが気を抜くなよ」
「へいへい」
そのやり取りを聞いていた真田がまだなにか言いたそうにしていた。気づかないフリをしていたら幸村君が止めてくれた。よっぽどしんどい顔してるんだろうな。鏡は持っていないからスマホで見れないものかと取り出すと、タイミングよく電話の着信がはいった。
母からの着信、買い出しのお願いならマイントークでくるはずだ。弟になにかあったのだろうか。悪い、みんなにそう言いすぐに出た。
「なに?」
『ちょっとー!なまえちゃんまだ帰ってきてないけど一緒にいるんでしょうね!?』
「いや知らねえよ、直接電話したら?」
『でないのよ、探しながら帰ってきて!』
「探してって、ちょ」
人がまだしゃべっているというのに切りやがった。探すってどこをどう探すんだ。少し苛ついて頭をガシガシとかく。
「大丈夫か?」
「ああ、俺先に帰るわ」
心配そうに声をかけてくれたのはジャッカルだった。仁王以外は何か言いたそうだったが、めんどくさいことになりそうなので足早に部室を出た。
とりあえず、と向かった教室のドアを開けると机に突っ伏しているみょうじがいた。簡単に見つけられたことに安心して声をかける。
「みょうじ、帰るぞ」
のそりと顔を上げた口元にはよだれが垂れていた。トントンと、口元を指さすと腕をゴシゴシして制服で拭きやがった。
「帰り道わからないなら言えよな、あと電話には出ろ。心配されてるぞ」
スマホを軽くチェックするとすぐにしまった。出やすいようにドアを開けて待っていたが出てこない。どうやら隣を歩く気はないらしく先に歩き出すと後ろをちゃんとついてきた。
家につくと母は勢いよく玄関まで出迎えにきた。
「なまえちゃん!無事で良かった〜!ブン太!見つけたなら連絡しないさいよ!」
「いや、なんで俺怒られるんだよ!理不尽!」
「なまえちゃん、立海どうだった?お友達できた?」
おいおい、友達ってワードはどう考えても禁句だろ。なんでこれで友達ができると思うんだよ。
「暇すぎて、溶けてました」
「それってよだれのこと言ってる?」
思わずそう聞くとギロッと睨まれたので早歩きで洗面所まで逃げた。すぐにみょうじも来てまだ睨んでたけど、俺悪くないよな。
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