次の日、目が覚めるとスマホの着信ランプが点滅していた。起きてすぐに確認すると全部マイントークだった。仁王からピヨと書かれたヒヨコのスタンプ。赤也からは『転入生来たって聞いたけど美人っすか?』、柳からも『今の時期に転入なんて珍しいが近所らしいな、昨日疲れていたのと関係があるんじゃないのか?』ときていた。
その転入生であるみょうじなまえからは『今日で覚えるので一緒に登下校してください』ときていた。
だから、なんで、同じ家にいるのに一々マイントークなんだよ!良いけど!嫌だ!
仁王は無視、赤也に『知らね』、柳には『糖分不足』、そしてみょうじには『直接言え』と送った。
打ちながらマジで糖分不足だと感じた。次の休みにはパンケーキ焼きまくって倒れるまで重ねて、生クリームとチョコとジャムとハチミツとフルーツとナッツをこぼれるまで盛り付けて食べよう。そんなことを考えながらパジャマを脱ぎズボンに手をかけた。
ガチャリ
なんのためらいもなく開いた扉。思わず固まる俺と、同じく固まっているみょうじ。
「……おい」
部屋間違えたのか?そう聞こうと思っただけなのに、勢いよくバンッと閉められた。なんだったんだ……パンツ姿見られたんですけど。キャーとでも言えば良かったかな、そんなことを考えながら着替えを再開する。洗面所へ向かうべく扉を開けるとそこにはまだみょうじがいた。
「え、なにやってんの?まさか家の中で迷子?」
「あ、う……」
おどおどする姿、まるで俺が苛めてるみたいじゃないかと錯覚しそうになった。広い心で次の言葉を待ちたかったが、髪のセットに一時間はかかる。
「洗面所行きたいんだけど、話あるならそこで聞くから」
みょうじはコクリと頷く。行くぞと声をかけてから歩くと素直についてきた。
「で、どうしたんだ?朝飯に嫌いなものでもあったか?」
「あの、一緒に、学校、行く……」
「へ?良いけどさ、なんでそんな片言なんだよ」
「う、怒ってる?」
「俺が?なにに?」
「……私」
なにがどうなってそうなった。めんどくせえ、ワックスを手に取りボリュームを作っていく。みょうじがチラチラと見てくるのですごくやりにくい。用すんだなら飯食って待っとけ、そう言えばトボトボと歩く後ろ姿が鏡越しに見えた。
「おはよう」
いつものように朝ごはんが用意されていて、弟達はゆっくり食べている。みょうじは食べ終えて一息ついている感じだった。
「みょうじ」
「うぇ!?」
「言い忘れたけど、ドア開ける前はノックしろよ」
「はい」
「じゃないと俺もいきなりドア開けるからな」
「……」
さっきから何か怯えているので笑わせようと冗談で言ったのに、まるでゴミを見るような目で見てきた。
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