なんとなく二人が戻ってくるまで食べずに待っていると、柳が「ところで」と言った。
「ん?」
「なんでみょうじと一緒にいるんだ?」
「美術の時間ぼっちのみょうじを見かねて仁王が俺を送り出したから、ぼっち回避のお礼にからあげさん奢ることになった」
「見かねたのに仁王がペア組んだわけじゃないんだ」
仁王らしいなと笑う幸村君。まあ厳密に言うと俺がそわそわしてるのを見かねて、だもんな。真田は良いところあるじゃないかと嬉しそうにしている。
「そんなに気に掛けるほどのことがみょうじとの間にあったのか?」
「近所の俺が学校までの道のり教えてるんだけど、仁王は道連れにしただけ」
次の質問をしようと柳が口を開いたとき、からあげを手に持った仁王とみょうじが戻ってきた。無事にミッションコンプリートしたみたいだ。食事中、柳が質問攻めにするのではと思ったがそんなことはなかった。
「そういえば隣のクラスが地理で抜き打ちテストがあったって言ってたよ」
「マジで?俺ら次の授業なんだけど」
「ちょい早めに戻ってノートでも見返すかのう」
「たるんどる!普段から真面目に受けていれば抜き打ちだろうが関係ない!」
「真田の言う通りだが皆がみんなそう器用ではない」
いつものようにその日あったことを話すだけだった。時折みょうじにも声をかけるんだけど、うまく会話は成り立たない。
「みょうじさんは地理得意?」
「まあ色々妄想に使えるし普通には知ってる」
幸村君の問いかけにお弁当から目線を外すことなく答えるが、隣の俺でもギリギリ聞き取れるか微妙。みんなに至っては返事してくれたかどうかもわからず、チラリと俺を見てくる。俺は妄想ってなんだよと聞きたかったが、また止まらなくなると面倒なのでそこは省いて通訳をした。
「普通だってさ」
「そっか、得意な科目とかあるの?」
「ゲーム」
「いやそれ科目じゃねーし」
「ゲームなら赤也と話が合いそうじゃな」
好きなことに関しては普通に話せるらしくボリュームもあり聞き取れた。一瞬「え?」という空気が流れたので一番はやく我に返った俺がツッコミを入れると同時に仁王が話を広げた。
「赤也……」
「一個下だがゲーム好きな同士話が合うかもしれないな」
「この前もスマシタブラザーズ発売がどうこう言ってたよね」
誰だそいつ状態のみょうじに柳と幸村君が優しく答えた。
「スマブラ!私も絶対に買う」
「俺の弟も欲しいって騒いでたな」
「そんなおもしろいんか?」
「おもしろい!」
ゲームの話になるとみょうじは興奮しだした。それを幸村君達が微笑ましそうにしている。真田だけ何か言いたそうにしてるけど……たぶん赤也がよく言われている、外で遊べとかを我慢しているのだろう。さっきの一件で一番気を使っているように見える。俺は、初対面の皆のほうが扱い上手いなーとどこか客観的に見ていた。
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