ゲームを買ってから連日、ずっと徹夜でゲームをしていたそうで毎日眠そうにしていた。たまに必死にノートをとっているかと思えば、ゲーム関連の落書きをしていて先生に怒られていた。我が家ではある程度遊んだら満足するので、長時間プレイすることはない。そこまでのめりこめるのはある意味すごいし羨ましい。それにしてもあのゲームはそんなにおもしろいのだろうか。みょうじに聞くと長くなりそうだから部活終わりに赤也へ聞くことにした。
「なあ、ユアクラフトって知ってる?」
「ユアクラ?もちろんっすよ」
「おもしろいの?」
「やり込むほど楽しいっす!やるんすか?」
「いや、ハマってる奴がいるから気になった」
自分がやっているわけではない、そう言えばつまらなさそうにふうんとゆるい返事をした。そこで会話が終了したと思ったが、「あ」と小さく声を漏らした後ドヤ顔をした。
「丸井先輩はユアクラよりスマブラの方がむいてるかも」
「それは弟がやりたいって言ってるから買う予定」
「マジっすか!?俺も混ぜてください!」
「いい……あー、その代わり赤也の家な」
本当はいつものように来てもらいたかった。なんせ弟達が赤也のことを神と呼ぶくらい気に入っている。でも、今呼ぶとみょうじと一緒に住んでいることがバレてしまう。だからそう提案したのに、呆気なく却下されてしまった。
「えーうるさくすると姉貴怒るんで丸井先輩の家が良い」
「今はだめだ」
「なんでっすか、前はよく呼んでくれたのに!」
理由を話してしまえば来るなという意味がない。なにか言い訳をしなくては、話しながら頭をフル回転させた。
「お前の為を思って言ってるんだ」
「なんで?」
「俺の家、最近でるんだよ……」
「でるって?」
「髪の長い……」
「え?え?」
「女の幽霊が」
「ぎゃああああ!!!!!」
咄嗟に思い付いたデタラメな話を赤也はあっさりと信じた。ここは部室だと言うのに怖がっている。そんな赤也がおもしろかったのか、近くで聞いていた仁王も参加してきた。
「俺も見たんじゃが中々ホラーぜよ」
「仁王先輩も見たんすか!?」
「しばらく離れんかった」
「ふむ、興味あるな。俺も行かせていただきたい」
「柳先輩正気ですか!?俺は絶対行かないっすよ!?」
赤也が涙目になったところで、まためんどくさいのが一人増えた。そういうのは信じないんじゃなかったっけ、そう問えば何事も決めつけは良くないからなと言った。幸村君も楽しそうだねなんて言ってるし、柳生は見てみたいとかほざくし、ジャッカルはみんなが行くなら行きたいって挙手するし、真田はずっと黙っていたのにみんなが暴走しないように俺も行くとか言い出した。暴走なら今してるから止めてくれと声にならない声で訴えた。
家に来させないためについた嘘が、逆に来たいと興味をそそるなんて大失敗だった。
「お前ら絶対に来るなよ」
睨みを効かせてそう言ったものの行きませんと答えたのは赤也だけだった。
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