行きつけの場所でテニスをした後、晩御飯はどうするかという話題になった。家で食べるか、このまま流れでどこかで食べて帰るのは大体いつも同じ割合。今回食べて帰るかもしれないと思ったのは前回が食べずに解散したからだ。それでも頭には悲しそうなみょうじがちらついて離れない。
「ごめん、俺は帰る。親が仕事で晩飯用意しねーと」
「すまない、俺も今日は従妹が来るから遠慮しておく」
俺が行けないと言うと真田も行けないと続いた。残りのメンバーでも行っても良いけど今日は解散しようかという結論になった。晩御飯は母が朝にカレーを大量に作ってくれているしご飯も夕方に炊き上がるようにしてくれているので温めるだけ。弟達はコンロを使うことが許されていないのであながち嘘ではないと思う。みょうじが来てから小さな嘘を重ねることが増えてしまい少ししんどい。家に入る前、そんなモヤモヤがたまってきたせいかドアがいつもより少しだけ重たく感じた。
「ただいまー」
「おかえりー!」
「おかえりなさい!」
パタパタと走ってきたのは弟の二人だった。
「みょうじはどうした?」
「いまへやにもどったよ」
「いっしょにあそんだ」
もっと遊びたかったのにねーと顔を見合わせる二人。ちゃんと子守をしてくれていたようだ。お腹すいたか聞いたらすいたと言うのでカレーを弱火にかけた。そのまま二階に上がりみょうじにあてている部屋のドアをノックする。
「起きてる?」
「うん」
「もうちょいしたらカレー食うけどみょうじはどうする?」
「まだいい」
「じゃあ先にゲーム屋行くか?」
ドア越しだからか割とスムーズに会話ができたのに、ここにきて返事が止まる。即答で行くと思っていたのに何を悩んでいるのか。
「……寝る」
「じゃあ行かないんだな?それで良いんだな?」
予想外の行かないという選択肢。連れて行ってやるためにはやく帰ってきたのに、そんな苛立ちで強い言い方をしてしまった。それでも反応がないから、行かないということだろうと判断をする。階段を二つおりたところで勢いよくドアが開く音がした。振り返ると焦った様子のみょうじがいる。
「行きたいゲーム買いたい」
「寝るって言ったじゃん」
「う〜……行きたいいい!!!」
半泣きになったのを見てヤバイいじめ過ぎたとあわてて階段をのぼる。
「わかった!行くから!」
「泣くな」と頭を撫でるとみょうじの声が止まった。泣き止んだか、そうホッとしたのもつかの間、手を振り払われた。
「気安く触らないでください」
なんだよその言い方、そう言いかけてやめた。みょうじの顔があまりにも真っ赤だったから、笑って「はいはい」と答えた。
back もくじ next