翌日、動画は各自のスマホに送られたらしい。なんでそれがわかったかというと、わざわざ一氏が教室へやってきたからだ。白石と忍足君に用があるんだろうと私も白石達も思っていたのに、まっすぐと私の所へやってきた。そして私の手を握り目をランランと輝かせ言った。
「動画、おおきに!」
「う、うん」
「お前動画撮るのうまいな〜!小春の可愛さがあふれてて無限ピリートやで!」
「えっと、自分の動画はちゃんと見てくれた?」
「あ?まあ一回は」
「えー!?撮影した意味ないやん!」
「なんでやねん!そんでさ、次はもっとプライベートなの撮ってくれへん?休憩時間の小春とか……」
「いやいや、目的変わってるから!しません!ダメ!」
「今回はくれたのに?」
「そりゃダブルスやもんヒントになると思ったからやん!」
押せ押せな一氏に首を縦にふらずにいると白石と忍足君が助けてくれた。
「ユウジ、自分のプレーに役立てへんなら小春のデータ消さすで」
「みょうじを困らせたらあかんっちゅー話や」
消す、という単語に言葉を詰まらせた一氏は「小春を知るということは己を知るということなんや〜」とわけのわからないことを言って去っていった。
「ありがとう、白石も忍足君も」
「ええよ、おつかれさん」
「ユウジの小春好きにも困ったもんやな」
「羨ましいけどね!あれだけ真っすぐに好きになれるのって」
「みょうじさんはおらんの?」
「俺も気になる!」
「え、そんなんみんなに決まってるやん!」
ヘラヘラと答えると二人は顔を見合わせて首をかしげていた。
「いや〜私気が多いから一人とか決められないというか、このメンバーだから特に好きっていうか……みんなイケメンで美味しいよね!」
「えっと、みょうじさん?」
「そ、そないなキャラやっけ?」
ちょっとどころか結構引かれている気がするけど、どうせ夢だからね!だから「本気だよみんな大好き」って答えた。そしたら二人は解釈を変えたのかうんうんと頷いた。
「せやな、俺もみょうじさん含めみんなのこと大好きやで!」
「それなら俺もや!」
だからそうじゃないんだけどなあと返事をするが、聞こえないフリをされてしまった。
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