休み時間になる度、女子がわらわら集まってくるのにも慣れてきた。その様子がまるで光に集まる虫だなと思えるくらいだ。相変わらず白石は、一人一人丁寧に優しく対応している。
彼は疲れないのだろうか。そんなんだから、誤解を招いて好きな人に嫌われるのではないか。
「なあなあ、白石君ってどんな子がタイプなーん?」
「うちも気になるー!美人も可愛い子も断ったんやろ?」
一人が聞くと、みんなもここぞと後に続く。あーあ、少なくとも白石の好きな人はお前らちゃうで〜私も誰かは知らんけど!嫌な性格をしているなと思うが、このことを知っているのはきっと私だけ、それが少し優越感だったりする。嫌われていると言っていたからあの中にはいないのは間違いないはず。きっとこれも曖昧に答えて流すんだろうな、と聞こえてくる声に耳を傾ける。
「強がってるのに実は弱くて守りたくなるような子、かな?」
意外にもちゃんと答えた彼に思わず目をやる。適当にぼかしてしまうかと思っていた。
「えーなにそれ。タイプというか好きな人いてます、みたいな答えやん」
周りのブーイングに苦笑しながら、話を終わらせようとしている。そんな白石と一瞬目があった。先に逸らしたのは白石だ。私は何で逸らされたかわならないが、なんとなく不愉快な気分になった。
白石って、私には八方美人しないよな。
ふと気がついてしまった。
みんなには優しいのに、私には優しくない。
みんなには笑顔なのに、私にはあまり笑わない。
私には、あんな柔らかい、話し方、しない。
嫌いだったはずの白石の愛想の良さが、私には向けられない。あんなにイライラしていたはずなのに、それなのに何でこんなに悲しいんだろう。
同じクラスになって、隣の席になって、ペアを組んで、意外な面も知って、思っていたような人ではあるけど、思っていた程嫌な人ではなくて。
あれ、なんでこんなに白石の事が気になってるんだろ……。一度落ちた涙を止めるのは難しくて、気がついたら泣いていた。
「えっみょうじさん!?どないしたん!大丈夫??」
私の隣の席の子と話すために、こちらを向いていた男子が気がつき声をかけてくれた。
「あ、うん」
「いや、大丈夫ちゃうよな、保健室一緒に行こうか」
彼は私の顔を隠すようにして立たせる。私は流れに身を任すだけで、そのまま彼の手をとった。このままこっそり教室を出ようと思っていたのに、そうさせてくれない人がいた。
「保健室なら、俺が連れて行く」
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