なんて詰らない伝言遊び


「ただいまぁ〜」

突然に緑間っちの家にやって来たのは、二週間くらい消息を絶っていた百舌っちだった。そりゃあまあ、驚くっスよ!とは言え驚きなのはそのタイミングで来たことも、だったんス……皆で──キセキのオレらで──緑間っちが百舌っちに着けてる盗聴器の録音をヘッドセットで鑑賞してたとこで……かなり見た目怪しいっスよね?百舌っちもちょっと動揺してた。真っ先に赤司っちがヘッドフォンを取ると百舌っちに微笑みかける。ああ、さすがっスわ!

「百舌、おかえり。ただ、──」

「ただ、?」

「とても案じていた、おまえの身を」

……ああ、さすがっスわ……普段は最後にイイトコ持ってくとか、比較的我慢できる赤司っちも、この時ばかりはぎゅうって百舌っちをそのまま抱きしめた。あっズリぃ、って青峰っちも隣で小さく言う。百舌っちも、ごめんねぇなんて言いながら赤司っちの腰に腕を巻き付けた。抜け駆けは良くないっスよ、こうして五人の端数が嫉妬してるっスから。

「……痩せたね、百舌」

「ん、んん?そう?うそうそ、」

ふつうの、ごくふつうの女の子なら、嬉しそうに「うそー」って言うとこなんスけどね。百舌っちのそれは、少し焦ってた。痩せてるとまずいことでもあるんスかね。有耶無耶になった会話を隠すように百舌っちはねえ、と声をかける。

「ね、ね。なに聴いてたの?」

「……クラシック」

「ええ、青峰くんが言うと、めちゃめちゃに嘘っぽいねぇ」

「うるせ」

「嘘だよぉ、何処かのアジトでも盗聴してたんでしょう!きょうは休日なのに、みんな大変だねぇ」

盗聴は当たりだけど。大変なんです、と黒子っちが何食わぬ顔で言うから、オレもへらへら笑っといた。内心冷や汗だけど。百舌っちは、相変わらず可愛い顔して笑ってた。

「つか、赤司っち!いつまで百舌っち独り占めしてんスか!」

「──冷たいな」

「……は?」

唐突な一言は、オレよりも、百舌っちの顔を凍り付かせた。腰元に添えられた手のひらが、優しそうだったのが、今では離さないというようにがっちりと固められているのに今更気付く。百舌っちは華奢で弱そうな体を捻って抵抗した。まさか、逃げられるはずないのに。

「やだ、やだ。やめてよ赤司くん……お願いだよう……」

「オレは何もしていないよ。おまえが何かしたんだろう」

「わ、たしは、なにも知らない。ほんとうだよ」

「知らなくても、分かるだろう。なあ、」

「あう、」

百舌っちが腰を撫でられると、情けない声を上げて、顔を伏せた。つまり赤司っちの胸に顔を押し付けたんスけど、刹那百舌っちは体を翻して逃げ出した。虚を突かれた赤司っちよりも早く、オレと青峰っちは立ち上がって駆け出す。百舌っち、足は全然速くないんスけど、メチャメチャちょこまかするからオレらはいっつも悪戦苦闘してる。

「青峰君、黄瀬君、支部です!」

──けど、黒子っちの言った通りの場所に行けば、悲しい顔をした百舌っちがいるんだろう。あーあ、何があるんスか、今から。

突然に緑間っちの家にやって来たのは、二週間くらい消息を絶っていた百舌っちだった。そりゃあまあ、驚くっスよ!とは言え驚きなのはそのタイミングで来たことも、だったんス……皆で──キセキのオレらで──緑間っちが百舌っちに着けてる盗聴器の録音をヘッドセットで鑑賞してたとこで……かなり見た目怪しいっスよね?百舌っちもちょっと動揺してた。真っ先に赤司っちがヘッドフォンを取ると百舌っちに微笑みかける。ああ、さすがっスわ!

「百舌、おかえり。ただ、──」

「ただ、?」

「とても案じていた、おまえの身を」

……ああ、さすがっスわ……普段は最後にイイトコ持ってくとか、比較的我慢できる赤司っちも、この時ばかりはぎゅうって百舌っちをそのまま抱きしめた。あっズリぃ、って青峰っちも隣で小さく言う。百舌っちも、ごめんねぇなんて言いながら赤司っちの腰に腕を巻き付けた。抜け駆けは良くないっスよ、こうして五人の端数が嫉妬してるっスから。

「……痩せたね、百舌」

「ん、んん?そう?うそうそ、」

ふつうの、ごくふつうの女の子なら、嬉しそうに「うそー」って言うとこなんスけどね。百舌っちのそれは、少し焦ってた。痩せてるとまずいことでもあるんスかね。有耶無耶になった会話を隠すように百舌っちはねえ、と声をかける。

「ね、ね。なに聴いてたの?」

「……クラシック」

「ええ、青峰くんが言うと、めちゃめちゃに嘘っぽいねぇ」

「うるせ」

「嘘だよぉ、何処かのアジトでも盗聴してたんでしょう!きょうは休日なのに、みんな大変だねぇ」

盗聴は当たりだけど。大変なんです、と黒子っちが何食わぬ顔で言うから、オレもへらへら笑っといた。内心冷や汗だけど。百舌っちは、相変わらず可愛い顔して笑ってた。

「つか、赤司っち!いつまで百舌っち独り占めしてんスか!」

「──冷たいな」

「……は?」

唐突な一言は、オレよりも、百舌っちの顔を凍り付かせた。腰元に添えられた手のひらが、優しそうだったのが、今では離さないというようにがっちりと固められているのに今更気付く。百舌っちは華奢で弱そうな体を捻って抵抗した。まさか、逃げられるはずないのに。

「やだ、やだ。やめてよ赤司くん……お願いだよう……」

「オレは何もしていないよ。おまえが何かしたんだろう」

「わ、たしは、なにも知らない。ほんとうだよ」

「知らなくても、分かるだろう。なあ、」

「あう、」

百舌っちが腰を撫でられると、情けない声を上げて、顔を伏せた。つまり赤司っちの胸に顔を押し付けたんスけど、刹那百舌っちは体を翻して逃げ出した。虚を突かれた赤司っちよりも早く、オレと青峰っちは立ち上がって駆け出す。百舌っち、足は全然速くないんスけど、メチャメチャちょこまかするからオレらはいっつも悪戦苦闘してる。

「青峰君、黄瀬君、支部です!」

──けど、黒子っちの言った通りの場所に行けば、悲しい顔をした百舌っちがいるんだろう。あーあ、何があるんスか、今から。

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