チラ裏のすみっこ




LOL










無題



「星なんぞ見て、何が面白いのです?」
望遠鏡を覗き見る私に、道満は話しかける。その声は特に感情など込められておらず、ただの暇つぶし、あるいは気まぐれ。
そんなふうに感じた。

「綺麗ですよ」
「それが面白いのですか?」
望遠鏡から目を離し、隣に立つ図体の大きい男を仰ぎみる。目が合った瞬間、彼の髪に付いている鈴がちり、と鳴った。
「マスターは綺麗なものを見るのがお好き。なれば、拙僧といるのはさぞ退屈でしょうな」
よよよ、とわざとらしく悲しむフリをしている道満の冗談を無視して望遠鏡を畳み始める。三脚の部分を縮めていると、道満は 「随分あっさり引き上げるのですね」と言った。

「構って欲しいんでしょう。星ばかり見ていてごめんなさいね。寝室に行きましょう」
ネズミに鼻を齧られた猫のような顔で、道満はそのまま立ちすくんでいた。まとめた天体道具を抱え道満をベランダに置き去りにしたまま暖かい室内へと戻る。体が冷えていることに気がついた。夢中になりすぎていたらしい。多分、それを言いに来たんだろう。

揺れる鈴の音が聴こえる。猫にしては大きすぎるか。そう思いながら、私は寝室の扉を開けた。









魔人ちゃん



ああ、マキマさんは今日も美しい。窓辺に立ちぼうっと外を眺めているその横顔の鼻筋の美しさといったら、いったら、えっと、なんだろ、あんまり頭よくないから言葉が思い浮かばないなぁ。とにかく綺麗だ。何を見ているんだろう、外は曇りだけど、マキマさんを引き止める何かがあの窓の向こうにはあるんだろうか。いいなぁいいなぁ私はつまんない女だからあんなふうに見つめてもらえないし意識を向けてもくれないんだろうなぁいいなぁいいなぁ憎らしいなぁ。
「世界が憎いっ」
「どうして?」
ひぁ、と思わず喉から声が漏れた。いつの間にかマキマさんがすぐ横に立っていた。私より少し高い背。手を後ろにして、こてんと首を傾げていた。
「あっ、マ、キマさんがぁ」
「私のせい?」
「違くてっ」
誤解を生んでしまう前にと必死で首を振った。距離が近すぎる。甘いような、花のような香りがする。マキマさんの匂い。
「う、ぬぁー、すきです……」
「うん、ありがとう」
拾ったものを渡した時とか、おつかいを頼まれていた時とか、そんな感じでいつものようにお礼を言われた。マキマさんは皆に好かれてるから、こんなのいっぱい言われ慣れてるんだ。
「私、キミにはまだ特に何もしてないんだけど、なんでかな?」
「…………?」
言われている意味がわからない。私はデンジ君にもバカにされるくらい馬鹿だし、パワーちゃんよりも公安にスカウトされるのが後だった魔人だから知らない事が沢山ある。最近、マキマさんの美しさを勉強したくて言葉を学ぼうと本を読み始めた。今日は『おおきなかぶ』を半分まで読んだ。飽きたからもう読みたくない。
「なんで私の事が好きなの?」
だからマキマさん本人にそう言われても私は何も答えられなかった。マキマさんはちょっと笑顔を消した後、もうこっちは見ないで、また窓の方を向いてしまった。あーあ。








花屋カルナ



近所の花屋に天使がいる。

いや、もちろん彼は羽など生えていないし頭に光る輪っかも浮いてはいないけど、確かに俺の目には天使に見えるのだ。陶器みたいに白い肌、宝石みたいに光る瞳、彫刻のような造形の顔、陳腐な表現ばかりで彼の黄金比を語るなんてとてもじゃないが恐れ多いのだが、いずれにせよ彼は天使だった。きっとトイレなんて行かない。たぶん光合成とかして生きてる。

歩道の反対側にあるその花屋を、下校途中に俺はかかさず見つめる。中には天使がいて、天使は虚空を見つめ棒立ちしていた。仕事ないんだろうか、天使だし働かなくていいのかもしれない。
光の具合で星のように煌めく白髪が壁掛け扇風機の風で揺れていた。レジ横のバケツに入れられた向日葵が同じく煽られ花弁を揺らす。あそこの花屋で花は買ったことない。そもそも花屋で花を買ったことがない。興味もない。ゲームを買うためのお金しか持ってないし。

不意に天使がこちらに視線を向けた。俺は硬直する。別に俺を見てるわけじゃないのだろう、よくある話だ。自分を見ながら手を振って向かってくる人間に硬直していると、後ろから手を振ってそいつに向かっていく人間が出てくるアレだ。

正面から見ると尚更人間とは思えなかった。散々天使天使と呼んでおいてアレなのだが、別に俺は彼が好きなわけじゃない。彼を天使と呼ぶのは、そう呼ばないと人間としてはあまりに綺麗すぎて怖いからだからだ。

などと心中を誰に言うでもなく語っているうちに事件は起きていた。天使が店から出てきたのだ。そして気の所為でなければ真っ直ぐ俺の方へ向かって来ている。しかしここは横断歩道の向こう側、現在俺の方を見つめ、天使は信号待ちをしていた。花屋から出てきた天使を初めて見た俺は、この野暮ったい現実世界の背景と彼の神々しさが絶妙にアンバランスすぎて、なにか合成写真か何かを見ているような気分で固まってしまっていた。というか花屋から出れたんだな、花屋の天使なので花屋から出れないかと思っていた。太陽光で溶けてなくなりそうなぐらい白いし。んなわけないか。

と、現実から目を背けまくっていたら信号はいつの間にか間抜けなメロディを流しながら青に変わっていた。天使は横断歩道を渡って俺の後ろから出てきた天使の知人と握手を交わすことも無く、そのまま俺の目の前で立ち止まった。近くで見た天使は思ったよりも現実味を帯びた人の形をしていて、呼吸と瞬きをしていた。ただ、やっぱり綺麗すぎる。綺麗すぎて怖い。切れ味が物凄い包丁みたいだ。

「お前はいつも俺の店を見ているな」

天使の声は思ったよりも低かったが、品のある落ち着いた声だった。俺がどう返そうかと迷っていると、天使は続けて話し始めていた。

「花は好きか」

「え、あ、はい」

物凄く嘘である。が、別に嫌いという訳でもないので全くの嘘でもない。ただ店を眺めていた理由が店主の彼という存在を好奇心から観察していただけなのを暴露するには些か気が引けたのだ。だってこんな綺麗な人見たことないし。

「そうか………」

天使もとい店主は腕を組んで目を閉じた。年齢は20代のような気もするが10代に見える気もするし、なんだか30代と言われても納得できてしまいそうな感じだった。要するに何も分からないということだ。
ゆっくり目を開けた彼は、俺の目を見据える。心の奥まで覗き込まれて引きずり出されそうな視線だ。酷くい心地が悪い気がした。

「少年、アルバイトをしないか?」

「え?」

何を言い出すんだ。もしかして彼の国の言葉でもっと別の意味だったりするのだろうか。ケンブツリョウハラエとかかもしれない。だとしたら払わなきゃ行けない気もするが。

「じつは、俺は花屋なのだが」

じつはって何だよ、じつは天使なのだがとか言われた方が話の流れが合ってる気さえする。

「客が、全く来んのだ」

知ってる。彼の店を見ていると、お世辞にも景気が良さそうには見えない。客がいた事がないし、何より店の雰囲気がくらい。そして店員が天使。俺なら怖くて入れやしない。現に遠巻きに見てただけだし。

「金には一応困ってはいないのだが、これでは店として成り立っていると言えん。だが俺だけではこの難題に答えを出すことは出来ないと、この1ヶ月で思った」

1ヶ月もかかったんかい。肩に掛けているスクールバックがずり落ちそうだった。

「なので人の力を借りることにしたのだが、アルバイトの募集をかけても全く人が来なかった」

してたのか、募集。もう一度店を見渡してみると、ガラス扉の右端の方に小さなチラシが貼ってあるのにここで初めて気がついた。言われなきゃ町内会の案内でも貼ってんのかと思うくらい存在感がない。

「そうなんですか」

「あぁ、来なかった……まったく、来なかった……」

2回言った。表情筋は硬いが、見るからに落ち込んでいる。まぁ、確かにまったく来ないのは可哀想だ。

「だからお前に声をかけた。お前はここを通る度に、いつも熱心に俺の店を見るからな」

入ったことはないんですが。そう言いたかったが彼の項垂れた頭をさらに地面に近づかせるだけだろうから黙っていた。俺はしばらく考え、彼に向かって頷いた。

「いいですけど、俺、花詳しくないですよ」

「いいのか」

承諾されるとは思っていなかったようで、彼は目を見開いていた。俺はまた頷く。

「いいですよ、夏休みの間なら。どこも行かないし、暇だし。面白そうだし」

「そうか、………そうか」

友達に話すネタにはなりそうだ。天使と働くんだから。

思ったよりも気が抜けてそうな天使は、白い肌を反射させながら微笑む。やっぱり美術品かなんかが動いているみたいで、なんともいえない不気味ささえ感じる。彼は右手を俺に差し出していた。

「店主のカルナだ。店への提案なら遠慮なく言ってくれ。よろしく頼む」

「────、高校2年生です、よろしくお願いします」

多分店なら大丈夫だろう。俺がレジにいるだけで何人かは店に入ってきてくれるはずだ。そんな気がする。
と、カルナに言ってもよかったのだが、恐らく分からないであろうからやめた。何にせよ、楽しい夏の思い出が作れそうだ。汗で張り付くワイシャツを手で扇ぎながら、汗ひとつかいていないカルナの背中を見て「やっぱり天使なのかな」と俺は呟いていた。








金カム




鯉登少尉の部下
鯉登少尉大好き 月島軍曹大好き
凄い無口で無愛想 でも懐くといつの間にかそばに居るし全肯定マシンと化す 真顔でボケてくる青年夢主ってかんじ
「○○、鯉登少尉がうろちょろしてはぐれないよう見張るように」
「はい」
〜1時間後〜
「月島ァ!リスが群れていたぞ!あと見たことがない鳥がいた!」
「そうですか。…○○、鯉登少尉を見張るようにと言ったはずだが」
「はい、ずっと見ていました。リスにはしゃぎ木に登ろうとされる鯉登少尉、鳥を指さし満面の笑みで私に声をかけて下さる鯉登少尉。非常に満足でした」
「そうか、わかった。今度からはお前には頼まん」
「○○!!見ろ!シカだ!シカが何か食んでいるぞ!!」
「分かりました、行きましょう少尉」
「行きません。2人とも大人しくしてください」









カーマちゃんと怠惰



脱いだ服は畳まない。読みかけの本は開いたまんま。お菓子は飽きたらその辺にポイ。ソファにだらしなく極限まで力を抜いて横になる女。私のマスター。
口を開けば「かったるい」。手足を動かせば「もう無理」。目を開けている事さえ「クソだるい」と言うこの怠惰な人間は、果たして自身の"愛"で包み込む必要はあるのだろうか?これほどまでに堕落させ甲斐のない人間は見たことがない。堕落させるもなにも、堕落そのもののような人間だし。
「はぁ、ねむ」
さっき起きたばっかでしょう、そんな言葉も出ないほど呆れてしまう。ゴロゴロゴロゴロしてるくせに脂肪がないのは、食べるとい行為さえも必要最低限、さらには忘れることがあるせいだ。
「怠惰も行きつけばゴミと同然ですよマスター、そろそろご飯食べて頂けます?最後に食事したの、いつだか覚えてますか?覚えてませんよね?ま、そんな人間も私は愛してあげられますけど…」
「ありがとー」
「……ちっ」
嫌味もこれっぽっちも効きはしない。私はビースト級の力を持つサーヴァントなのに、イマイチ力を出し切れないのは絶対にこのダメ人間のせいなのだ。元からダメ人間とか、困るに決まってるじゃないですか!本来なら私がダメ人間にするはずだったのに!
「…ねぇマスター、耳かきしましょうか?膝枕なんてどうです?」
「……んー、めんどうだし、いい」
「あなたが何をめんどくさがる部分があるんです?あぁもうっ…!」
脱ぎ散らかした服と放り投げた携帯ゲーム機、読みかけのマンガ本に囲まれたやたらと大きなベッドに寝そべりながら、マスターは珍しく私の方を見た。
「カーマちゃんはさぁ……なんでそんな頑張ろうとしてんの?」
「…はぁ?」
私が?頑張ろうとしてる?何を言い出すんだこの女は。怒りを越して逆に冷静になってきた。
「怒った?ごめん。でもさ、わたしこんな性格だし…カーマちゃんもさぁ、一緒に寝ちゃいなよ。2人でもっとダラダラしよ?ね?」
「………」
両手を広げて小首を傾げるマスターの姿に一瞬心が揺らいだ気がしないでもないが、気のせいだ。私は人を堕落させる。かと言って自分自身が堕落する気など毛頭もないのだ。
「カーマちゃん…ぎゅってして寝たいなぁ…」
「んんんぐぐぐ」
決して決して決して可愛いなどと思ったりしていないし、そろそろ本気で栄養失調になるから何とかして食事を取らせないといけないのだけど!
「……いいでしょう、そのかわり、この飴を食べてくださいます?」
「えー飴?途中で舐めるの飽きちゃう」
「そんなこと予想済みです。ソフトキャンディですから途中で噛んでもいいです。美味しいですよ、ほら」
「んむむ」
1粒で物凄くハイカロリーな特製キャンディをマスターの口に突っ込み、散らばる物をどかして布団のスペースを空けた。ちなみに、腐ったりするゴミ類はさすがに放り投げるのを叱っているし私が片すので部屋は臭くはない。私がそんな部屋で過ごしたくないし。
「ほーらマスター。私をぎゅってしていいですよ?」
「これおいひい。カーマちゃん作ったの?ありがと」
「…ええ。お口にあって何よりです」
「ん……カーマちゃん、柔らかい」
胸に抱きついて、顔を遠慮なしにぐりぐりと押し付けてくる。その目がもうとろんとしてきていた。散々寝たくせにまだ眠れるらしい。
「おやすみカーマちゃん……」
「……はぁ」
一体この元から堕落しきったマスターを、どうすれば自分の手で堕落し直させられるのだろう。自分の胸の中、すやすやと眠るマスターの髪を指で梳きながら、カーマもいつの間にか目を閉じていた。









鮫くんは食べ盛り





・基本攻め
・オクタヴィネル寮、サメの人魚
・2年生
・人魚より人間が好きなので人間になった。あんまり人魚に戻るのも好きじゃない。アズールの言うことを聞くという契約で人間にしてもらった。別に幼少の頃のアズールもリーチ兄弟の事も知らなかった。(人間が大好きすぎて興味なかった)
・人間に対するストライクゾーンが広すぎる
・やっぱり飛行術は苦手

ユニーク魔法
・噛んだ分だけ魔力を回復できる。噛む力にも比例するけど2、3回力強く噛むと凄く元気になる。甘噛みすると甘くて美味しいらしくお腹が空くとところ構わず甘噛みさせてくれと頼んでくる。顔がいいのでギリ許されている。人によって味が違うらしい。噛まれたら痛気持ちいい。


「あむあむあむあむあむ」
「あはは!なんかくすぐったいなー!マッサージみたいだ!」
「甘いうまい」
「そうかー、よかったな〜」
「ギャーーーくぁw背drftgyふじこlp;@:「」」
「あ、ジャミル」
「カリムから離れろ鮫野郎!!!」
「いいひゃん、かいむがいいひょっへいっひゃんらから(いいじゃん、カリムがいいって言ったんだから)」
「ぅあ、○○、噛まれたまま喋られると、ちょっとぞわぞわする…」
「ひょめん(ごめん)」
「ひぁっ…」
「離れろァーーーッ!!!!」








無題



妹は人魚だ。色素の薄い絹糸のような長い髪をバスタブに浮かべて、彼女は雪のような肌を白魚の手で撫でている。聴く者を魔法にかけるように魅了する美しい歌声で、気まぐれに曲を変え口ずさむその姿を私は椅子に座り何時間だって見ていられるだろう。
バスルームは肌寒かった。妹は極度の暑がりで、バスタイムは必ず窓を全開にする。青いタイルが敷き詰められたバスルームには陽光が差し込んで、妹の彫刻の様な顔を片側だけ照らしている。
ほぼ水と言っていいほどぬるい湯に浸かりながら、ちゃぷちゃぷと妹はいつまでも水遊びを楽しんだ。陽に照らされる肌が眩しかった。
「おねーちゃん、いつまで居るの?」
私が見蕩れているのを知っていて、妹はクスクスと笑いながら膝を抱えた。換気扇が回る音を聞きながら、適当にこの煙草を吸い終えるまで、と答えておく。
「きーらーきーらーひーかーる、おーそーらーのほーしーよー…」
パシャ、と水を蹴る音がする。 狭い水槽の中で妹は泳ぎ続ける。彼女が干からびてしまうなら、その前に剥製にしてやろう。きっそれが私が姉としてしてやれる、最大の愛だろう。灰皿に煙草を押し付けて、最後の煙を吐き出した。








無題



放課後の誰もいない教室で、窓の外の夕陽を眺めていた。赤とピンクの混じる空と藍色の街の境界線、水彩画みたいに滲むその色の中をゆっくりただよう雲を目で追っていたら、とっくに部活の奴ら以外は帰っただろうと思っていたのに誰かが教室の扉を開ける音がした。
驚いて振り向くと、あまり喋ったことがないクラスメイトの衛宮士郎が工具箱を手に持って、同じく驚いたようにぽかんと口を開けて俺の方を見ていた。人がいるとは思っていなかったんだろう。
「えっと、──だよな、まだ帰ってなかったのか。なんか、用事があったのか?」
自分のことを棚に上げて、ちょっとぎこちなく衛宮が教室の中に入ってくる。名前を覚えられていたことを少し意外に思いながらも、俺は緩く首を振って机の上に置いていたリュックを背負った。
「別に、空見てただけ」
「空?」
言ったあとで、結構カッコつけた奴みたいになってしまったなと恥ずかしくなり頬を掻いた。別に嘘は言ってないけど。
「あぁ、綺麗だよな、今日の夕陽」
なのに、衛宮の方は全く気にした様子もなくサラっと受け流して笑い返してきた。成程、こういう奴なんだなと何となく理解した俺は、そのまま帰ろうとも思ったのだが、何となく、その手に持たれている工具箱に目を向けた。
「衛宮は何しようとしてんの?」
「俺か?俺はちょっと、教室のストーブを直しに来たんだよ」
そう言いながら、衛宮はもうストーブの方まで工具を手に座り込みはじめていた。ガチャガチャと何やら作業し始めた衛宮の横に立ち、手元を覗いて見てみる。
「ふーん………」
「なんか、意外だな」
急に衛宮がそう呟いた。誰の何が?と首を傾げていると、「悪い」と苦笑いしながら衛宮がこっちを見た。
「その、──はさ、いっつも誰かと賑やかに喋ってるなって印象だったから」
「うるさいってこと?」
「違う違う!」
それは悪かったな、とクラスメイトの誰かの机に腰掛けて脚をブラつかせながら冗談で言えば、衛宮は焦ったように首を振った。言おうとしていることは分かる。自分で言うのもなんだが、俺はこのクラスの中で結構中心的な立ち位置にいると思う。カースト上位というやつだろう。くだらない価値観だけど、この学校生活の中でこれはとても重要なことだ。
「それ、楽しいか?」
「修理するのがって事か?結構面白いぞ」
「ふーん……」
そういう意味じゃなかったんだが、衛宮は手際よくストーブの部品を分解し始め中の汚れを丁寧に拭いていく。秋の初めの寒さが緩やかな今の季節を終えたら、このストーブの出番はすぐだろう。
「──も、なんか困ったことがあったら言ってくれよ。俺に出来ることなら、手伝うからさ」
作業を進めながら、口癖みたいに衛宮が言う。そういうのが楽しいのか、という意味でさっきは質問したんだが、もう一度言う気にもなれず、分かった、とだけ返事をしてその背中を眺めていた。









無題



「は、はわ、はわわわはわ」
「いかがです?なかなかよいショットかと。宜しければこちらのアングルなんかもオススメです」
「ヒィッ、顔がいい」
「トビウオちゃんほんとジェイド好きだよねー」
「今ならこちらのスペシャルレアショット、寝巻き姿でテラリウムに勤しむジェイドの写真も付けて、このお値段でどうです?」
「払います」
「マジで?超ぼったくりなのにトビウオちゃんやべーね」
「少し疑問なのですが、フロイドのことはどう思っているんですか?ほとんど同じ顔でしょう」
「え…顔がいいなって思います…」
「ありがと〜〜」
「………ッハ!いい事を思い付きました、今ならフロイドがジェイドのモノマネで貴方に愛を囁く事もできますよ!対価はこれくらいで…」
「それはちょっ、ちょっと、いやでも、ぬ、ぬぅ…」
「いや俺なんも言ってねーんだけど」
「いいでしょう減るものでもありませんし、逆に僕の懐が増えますから」
「なんでアズールに払われるわけ?やるなら俺がもらうし………まぁいーよ、今機嫌いーからやったげる。トビウオちゃんこっち見てぇ」
「え?はい」
「よいしょっと…………………こんな感じでしょうか?」
「わ、ひぇ、ジェ、ジェイドさんだ…」
「ふふふ………え〜と、あー………。今日も可愛いですね」
「あばばばばばばばば」
「おや、そんな言葉でいいのですか?」
「あれ、なんかジェイドさんが2人いる…ここが楽園…?」
「ジェイド、おかえり〜」
「はい、ただいま帰りました。今一体何をしているんです?」
「んっとね、商売」
「…おや、その写真…」
「う、だ、ダメです!これは私が買ったんです!もう私の物なんです絶対離さん」
「トビウオちゃん必死すぎウケる」
「おや…では、お買い上げ頂いたお礼にツーショットを撮りましょう。はい、チーズ」
「近い近い近い近いですたすけてフロイドさん」
「俺も入る〜」
「無慈悲」
「では僕も入るのでお値段はこの位で………」









ヴィ様×♂




「背筋!シャキッとしなさい!」
「い゛っ!ってぇー!」

「いただきま…」
「なんにでもマヨネーズかけない!没収!」
「あぁ!?」

「ふぁ〜あ」
「だらしがない!せめて手を添えなさい!」
「…………」

「全く、本当にアンタってガサツで品がない。せっかくの顔とプロポーションが報われないわ」

「……あの、俺、ヴィルさんみたいにモデルじゃねーし、つーかポムフィオーレの寮生でもないのに、なんでそんなつっかかるの?」
「別に、そんなの関係なしに目につくだけ。…なによ、このアタシに鬱陶しいとでも言うつもり?」
「え、いや、そうじゃないけど…」
「……フン」
「そうじゃないけどさ……放課後購買のフラペチーノ飲みに行くって言ったら怒る?」
「あんなカロリーの塊飲んで豚にでもなるつもり?」
「だって飲みてえんだもん…ダメ?」
「ダメ」
「2人で半分こでもダメ?」
「誰とよ」
「ヴィルさんと」
「……………」
「……………」
「ダメ」
「そんなぁ〜」











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