チラ裏のすみっこ




LOL










女神と大きい女



背のびの必要がないのは楽でいいけど、デカいっていうのはそれ以上にいい事なんてない。私の背にりんご1、2個頭に乗せても足りないような2人は、きっと背伸びをしても腕を伸ばしても、この1番上の棚に乗っていたホットケーキミックスは取れない。そもそも2人は踵を地面から離して、欲しいものに手を伸ばす様なことはしないだろうけど。する必要などないのだ、私とは違う理由で。
「ねぇ、まだかしら」
「早く作りなさい。バニラアイスを添えて、ブルーベリーのジャムをのせてね」
「はちみつもね」
はい、と返事をして、弱火で時間をかけて焼き色を均一にしたホットケーキを、形の崩れないよう慎重に裏返す。少しでも焦げがあると、ブーブー言われる。
退屈そうに2人はリビングの椅子に隣合って座って、頬杖をつき朝のニュースを眺めていた。あ、今チャンネルを変えた。…何故か教育テレビを見始めている。
2人の分のホットケーキができたので、幼児向けのよく分からない不思議な曲を無表情で眺めている2人の目の前に置いた。紅茶を注いで、どうぞと言ってその場を離れる。私の分は2人の後だ。
カチャカチャと食器の擦れる音がして、2人が食べているのに安堵しつつ自分の分の生地をフライパンに流し込んだ。お腹がすいた、もう焼ければいいので火を中火にする。
自分の分ができた頃、2人はもう食べ終えていて、お皿もそのままにソファでくつろぎ出していた。
「ご馳走様」
「悪くなかったわ、貴方、料理は上手よね」
「体が大きい割にはね」
「ふふ、大きい割にはね」
からかうように笑う2人の顔は、まさに人類の理想の少女という感じで、儚くて小さくて愛らしい。2人がその小さな細い手で扱っていたフォークとナイフは、私が持つとミニチュアみたいに見えて嫌だ。
「あら、アプリコットのジャム」
「ズルいわ」
自分たちがブルーベリーがいいと言ったのに、私のにかけていたアプリコットを見つけて文句を言ってきた。ようやく1口目を食べようとしていた私の傍に寄ってきて、2人で片方ずつほっぺたをつねってくる。
仕方なくつねられたまま1口大に切ったホットケーキにジャムを乗せて、2人に差し出した。私の1口は彼女たちの倍の大きさだ。
食べさせられるのが当然と言う感じで、2人は目を閉じて口を開けて向かえ入れた。そのまま小さな口で咀嚼する。薄くて明るい色の唇が可愛らしい。
「ちょっと」
「焦げてるわ」
椅子に座ってる私よりも小さな2人は、私が食べ終えるまでずっと傍を離れないまま、文句を言って邪魔をしていた。












無題



自分だけが楽しい鬼灯とfateのクロスオーバー読みたい
白澤様召喚してぇ〜〜〜〜〜〜〜戦う白澤様見てぇ〜〜〜〜〜男マスターだけど最終的にCCCギルみたく絆結んで今まで散々女の子がよかったんだけどと文句を言われてたのに、別れ際に爆弾落とされてぇ〜〜〜………というやつ


「僕は天国でお店やってるし、また会えるよ」
死んだ後だけど!と笑って、白澤は光に包まれ消えようとしている。自分はそんなの無理だ、と首を横に振る。
きっとそこで自分と会う白澤は、今の白澤じゃない。自分との記憶を忘れた、男の自分なんかにまったく興味なんてない白澤なのに。久しぶり、やっと会えたと言ったって、気持ち悪がられるだけだ。そんなの耐えられない。
そう言うと白澤はあっけらかんとした顔で「大丈夫だよ」と言った。
「君が君でいるかぎり、大丈夫だよ」
何がどう大丈夫なんだと食い下がる。もう時間が無い。
「君が君の言葉で、気持ちで、その声で、僕にまた出会って、こうして触れてくれるなら」
白澤の白い手が自分の平凡な手を握る。暖かかった。
「僕は必ず、また君を好きになれるから。約束するよ」
じゃあすぐ死んで会いに行きたいと言ったら怒られてしまった。










スタッフちゃんとキリ様




ガリガリくんコンポタージュ味とかいう凄まじい物を買ってしまった。なんでこんな物がカルデアの購買にあんだよ誰が買うねんと眺めていた筈が、気づいたら手に取ってレジを通し店を出ていた。何を言っているか分からねーと思うが私にも分からん。取り敢えず休憩スペースに座りテーブルの上に置いて見つめるが、どう考えても美味しくないやつである。人はなぜこのような過ちを犯すのか。
「それが人である故…」
「面白い独り言だね」
突然かけられた声に驚いて顔を上げると、美しいブロンドの髪が視界に入った。見間違いか、と思い目を擦るも、視力1.2の視界はボヤけも霞もしてなかった。
正真正銘、キリシュタリアヴォーダイムが私に声をかけていた。は?何事だ?と目を見張っている私を気にもとめずに、エリート集団のAチームでリーダーを務める正真正銘のエリートの彼は、テーブルの上の物に視線を向けていた。
「ガリガリくん、コンポタージュ味…」
その涼しげな顔の品のいい唇から、ガリガリくんという単語が発せられて思わず吹き出しそうになってしまったが、流石にそんな軽率な態度は取ることができず必死に堪える。笑っただけで人を咎めるような人間ではないと思ってはいるが、それでも彼が纏う雰囲気は、一般スタッフである下っ端も下っ端の自分には近寄り難すぎる。というより、なぜエリートのAチーム、しかもキリシュタリアヴォーダイムがここにいるのか。疑問にこそ思えど、口に出して聞くことはしないが。
「美味しいのかい?とても奇妙だね、暖かいスープを凍らせるという発想は」
「そう、ですよね」
喋りかけられているようなので、当たり障りのないように答えたが声が上ずってしまった。やりにくい、早くどこか行ってくれと思ってしまう。
「好きだから買ったのでは?」
「いや、不味そうだなと思って見てたら気づいたら買ってました」
そう答えるとキリシュタリアは伏せがちな目を珍しく開いてぱちぱち瞬きをした。思ったよりも可愛らしい反応だった。
「不味そうだったのに?」
「不味そうだったのに」
反復して答える。すると、今度はぽかんとした顔で唖然とし、そしてしばらくしてクスクスと笑いだした。
「ふふ、ふふふ…。面白いね。でも少し分かる気がするな」
あまりにも素朴に、楽しそうに笑うので、興味が湧いてもう少し話をしてみようと思った。
「これ、溶かしたらコーンポタージュになるんじゃないですかね」
「それでは意味が無さすぎるな。しかしやってみたくなる不思議な魔力がある…」
なんだか思ったより、話しやすい青年だ。休憩スペースには小さな調理スペースもある。2人して同時に、コンロと小鍋の方に視線を向けてしまった。
「………」
「………」


「いたっ、おい、キリシュタリア、そんなとこで何して…いやマジで何してんだ?」
「カドック…コーンポタージュのアイスは、溶かしても不味いし、そのまま食べても不味いんだ…」
「いや何言ってんだあんた」
「あ、どうぞ、これ飲んでください。不味いんで」
「じゃあ勧めるな!ていうか誰だあんた!?」








イアソンを召喚した男とメディアさん



「船長〜、ご飯できたよ〜」
そう呼びかけたら、んー、という適当な返事が返ってきた。横になって雑誌を読みふけってるイアソンの姿はくつろぎきっていて、ここが俺の家だということを忘れそうになるほどだ。
そして案の定返事もしたのにピクリとも動かない。たぶん今の彼の頭の中は、読んでいる『週刊ボトルシップ』に付属していた組み立てパーツの事しかないはずだ。立ち上がる気配が微塵もなかった。
「船長〜ね〜ごはん〜」
またしても返事はんー、だけだった。第一、食事の要らない英霊なのに、3食きっちり要求してくるのはそっちのくせになんという態度だ。
「今日のイアソン様。寝転がって雑誌を読んでいました。えー、ごはんの呼び掛けをしても、返事だけで動いてくれませんでした。えっと、それから」
「…待てコラ、何書いてんだオマエ」
「イアソン様観察日記だよ」
「俺は夏休みの宿題か?何だ急にそんなもん書き出して」
ようやくイアソンがムクリと起き上がってこっちを見た。俺の手元にある小さな手帳を覗き込むと、「ギャッ!」と悲鳴を上げて、キュウリを見た猫みたいに後ろへ飛び上がった。
「なん、なんでオマエがメディアの手帳を持ってるんだ!?!?」
「あれ?なんで分かるの?」
閉じた手帳をイアソンに近づけると、面白いくらいに慄いて仰け反っていた。ヒィィィイと涙目になっている。
「なんかね、今日夢見たんだけど、その時に貰ったんだ。イアソン様の活躍を私にも教えてくださいなって言われたからー」
「そんな不審者から言われたことをすんなり受け入れるな!くそっ!メディアのやつ、どうやってそんなことできたんだ…!」
本気で怯えてるみたいで、壁の隅でブツブツ言い出したイアソンの縮こまった背中を見ながら、メディアさんに言われたことを思い出した。

「臆病だし、すぐ調子に乗るし、自分本位でめんどくさい人なんです」
散々な言い草だ。ふふと笑って、メディアさんは「けど」と続けた。
「魅力的な人なんです」
そう言って、はい、と1冊の手帳を俺に渡した。
「魔術礼装をつけてみました。きっと、なにか役にたつはずです。あの、なので…」
「イアソン様の、ちょっとした事でもいいので、私に教えてください。そこに書けば、私も読めますので…」
頬を赤らめて言うメディアさんに、分かった、と言って手帳を受け取った。メディアさんは嬉しそうに微笑んでいた。
「窮地であればあるほど、輝く人ですが…隣にいるのは、ハラハラするものです。まぁ、イアソン様の方が内心もっとハラハラしているでしょうけど。ですが、きっと大丈夫です」
「そんな不安を上塗りしてくれるほど、イアソン様といるのは、楽しいと思いますから!」
最後に、メディアさんはコソッと俺に耳打ちをした。
「あの、今のは、イアソン様には言わないでください…」

「船長、愛されてますねー」
「うるせぇ!」
悪魔の書かなんかかよ、というくらい手帳に怯えるイアソンを笑いながら、くすくす笑うメディアさんの幻聴を聞いた。








書きたいマスターと鯖の組み合わせ




可愛いメイヴちゃんが大好きなJK×メイヴ
ホームズ×探偵事務所で働く女の子
アルジュナ×真面目で品行方正な生徒会長の女の子
自堕落な女の子×カーマ
本好きのポーカーフェイス男子×清少納言
なんかの間違いで召喚されたハイド×JK








前のサイタマ先生隣人JKの続き



怪人のこめかみに数発撃って、しっかり倒れたのを確認する。よかったちゃんと死んでる。たまに硬いやつもいるから、その時は爆弾とか埋め込んで爆発させなきゃいけないから大変なんだよな。
愛用のピースメーカーをリュックにしまって、再び帰宅路を歩き始める。今手持ちの銃がコレとM3913しかなくて、小銃だけだとあんまり怪人が頑丈なら長引いてしまうので死んでくれて助かった。
やっぱり重くなってもマグナムくらいは持ってた方がいいのかなと考えていると、前から近づいてくる見慣れた人影が見えてきた。
「あ、どうも」
「無事だったか」
ジェノスさんだった。どうやら怪人を察知して来てくれたらしい。家から走ってきたからなのか、何故か菜箸を持ってる。料理中だったんだな…ていうかジェノスさんがご飯作ってんだな。
ジェノスさんは倒れている怪人の銃痕を見て、驚いたように振り返った。
「相変わらずブレが無いな」
「1番慣れてる銃なので」
ちょっと照れくさいのでそう言って謙遜しておいた。本当はどんな銃でもミスらない自信はあるぞ。
「だがいくら腕前があろうともここを1人で通るのは危険だ。…以前から思っていたが、何故Z市に一人暮らししているだ?」
帰り道を歩きながら、ジェノスさんが聞いてきた。うーん、と考えてから答える。
「家賃安いんで…ここ借りる人殆どいないから、部屋選び放題だったし」
Z市って色々いわく付きみたくなってるんだよな。多分原因全部サイタマさんなんだけど。
そう言うと、ジェノスさんがまだ不思議そうに首を傾げた。
「そもそもなぜ一人暮らしをしているんだ?」
「親いないんで」
離婚しててどっちとも疎遠になってるから、と続けようとしたら、ジェノスさんがはっ!とした顔でこちらを見た。
「すまない…軽率だった」
「あ、いや、大丈夫ですから」
「俺は…くっ…!」
なんか地雷踏ませてしまったかもしれない。早く弁明しなければと声をかけようとしたら、ばっと顔を上げたジェノスさんに両手を掴まれた。
「本当にすまなかった。明日からキミの帰りは俺が送ろう。任せてくれ、キミの安全は、天国の両親の分まで、必ず俺が守ると約束しよう!」
「は、はひ…」
気迫と顔の良さに負けて返事をしてしまった。ごめん両親、多分生きてるんだけどたった今からあなた達は死んだことにします。死んでるか死んでないか分からないなら死んでるかもしれないしな。シュレディンガーの両親。いやお金貰ってるから生きてるけど。
ジェノスさんはその日の帰り道終始ボディーガードをしてくれた。でも流石に学校帰りを毎回送ってくれるのは悪いと断って、帰宅時間を教えるからその時間に怪人を察知したら助けに来て欲しいと伝えておいた。けど、大丈夫だ、とだけ返されたのでもしかしたら伝わってないかもしれない。明日の帰り、不安だな…。









カイン



口を開いたカインに素早くピザを運んだ。もぐもぐと咀嚼するカインを見ていると、不思議な気持ちになる。食事といった人間的な生命活動があまりにも似合わなすぎるから。
「うん、やっぱり美味しいね」
「そうか」
彼が自発的に食べたいと言ったりはしない。ただ俺がなんとなくカインがピザというものを食している光景を見るのが好きなだけだ。カインの口元についたソースはすぐに腐敗した。そっと拭うと、カインは青い瞳でじっとこちらを見つめた。
「君のは、どんなピザになるんだい?」
「ハバネロにタバスコがかかったチリソースのピザ」
「辛いのが好きなんだね」
ふ、と笑った。彼が俺の事をどう思っているのかはしらないが、俺は彼が好きだ。
「ありがとう」
これは彼にとって必要のない行為だが、カインはいつもそう言って俺に笑いかける。本当はその顔が見たくて続けているのだと言えば、彼はなんと言うのだろうか。そんな事は今日も言えずに、きっと明日も俺は彼にピザを食べさせるのだ。








多分もう使わない文章の冒頭たち 夢でもなんでもなくてすんません



もう死んじゃうんだって思ったから、スマホを捨てて海に向かった。スマホにPASMOを入れていた事に駅の改札で気づいて、何年かぶりに切符を買った。小学生の時の根拠の無い切符占いは、端に書かれた4桁の数字の両端が揃っていれば、真ん中はアナタと好きな人が両想いになる可能性を表しているとあったのを思い出す。3562。かすりもしなかった。残りのお財布の中身は3200円。
平日のお昼の電車は案外人がいた。ベビーカーを押す女の人が幸せそうに赤ちゃんをあやしてる。
終点まで乗るから目を閉じた。このまま消えられるなら、それでもいいけど。
死ぬ前に、海が見たかった。

───────

自分が英霊になるなんて考えてもいなかった。確かにまぁ、それなりに冒険もしたし、人よりは何かを成し遂げたような気もしないでもないけど、まさか最良のクラスなんて言われるようなモノで再びこの世に現界するだなんて。不相応すぎやしないか。そう愚痴っていたら自分をアサシンだという刀を持った和風な男が「いやぁ拙者なんて燕を斬っただけでごさるよははは」と言ってきたがそれはそれで逆に怖くて逃げた。
カルデアに召喚されて来てからというもの、俺はだいたい1人で過ごしていた。理由は単純で、自分と周りを比べてすぐ落ち込むからだ。右を向けば王族、左を向けば神霊。ただの一般剣士の俺には眩しすぎて、もうどうたち振る舞えばいいのか全く分からなかった。マスターに呼ばれれば行くけど、それ以外はそそくさと自室にこもる。そんなことを繰り返していた。


──────

魚が好きだ。水中で揺らめく尾ひれを見ていると、生前飼っていたベタを思い出す。任務が終わって部屋に帰り、尾の先が少し赤い藍色のベタに固形の餌をやる。捨てようと思っていた空瓶と水だけを与えられていたソイツはガラス越しに自分を凝視する人間を気にもとめない。頭上に投下された茶色い餌を見据え、ゆっくりと近づき捕食した。
ぷくぷくと口から泡が吐き出される。全て食べ終えた後、ようやくベタは俺を認識した。
瞳は黒く、ただただ黒い。俺は頬杖をついて、気の済むまでずっと見つめていた。










ダルダル系アサシンお兄ちゃんとアルジュナ




・アサシンの男
とにかく眠いしサボりたい系男子 でもお人好しなので付き合い自体は悪くない めんどくさい、ダルいが口癖 趣味は寝ること
気に入った人に極端に懐く習性がある

・極端に懐かれてしまったアルジュナ
年上なんだろうけど弟に似ていて世話焼きムーブになってしまい大体後から後悔するけどアサシンの態度のせいだしなんも悪くないのでかわいそう 意外とちょろいので距離感が狂ってることに気づいてない




「ほら、立ってください。マスターに渡すプレゼントの材料を取りに行くんですよね」
「誰だそんなめんどくさい事提案したのは。出てこい、首を差し出せ、跳ね飛ばしてやる」
「あなたなんですけど」
「無理ーダルいー起きれないーアルジュナ起こしてー」
「子供じゃないんですから…」
そう言いつつ呆れた顔で手を掴んで引っ張ってくれた。そういうとこだぞ。
「マスターさ、マジで全員にチョコあげるの?俺だけ忘れたりしててくれない?」
「ないと思いますよ。毎年血相を変えてやっている行事ですからね」
「アルジュナは何返したんだ?」
「カルナを討った矢です」
「(コイツやば)」
「ほら、準備して」
「んーんー、ん〜」
「動かないでください、髪がセットできません」
頼んでないけど。でも楽なので任せよう。毎度毎度人の髪をよくそんなバリエーション豊かに変えられるもんだな。
「よし。…うん、さすが私。完璧な仕上がり」
満足していらっしゃる。
「では行きましょう。まずは何を手に入れたいのです?」
「毒ヘビ×20匹くらい」
「…何を作るんですか?」
「ワクワク毒殺スターターキット」
「やめなさい」










前に書いたサイタマの隣人JK つづき



隣の部屋から爆音がしてきて目が覚めた。休日の朝だけどもう慣れっこなので、あっ、またなんか襲撃されてんのかなと思いつつ欠伸をして目を擦る。枕元に置いた護身用の短銃を引き出しにしまって、洗面台に立った。寝癖を適当に手ぐしで整えて顔を洗い、そういや卵もうなかったなー、と考えていたら、玄関のチャイムが鳴った。
「ふぁい」
「おー、悪い、寝起きだったか」
「なんすか」
「これおすそ分け。さっき倒した怪人がニワトリだったから」
そう言って差し出されたのは見た目は普通の卵だった。サイズが若干大きい気もする。
「食べられるんですかねそれ」
「俺食ったけど大丈夫だったぞ」
ならいいか、とちょうどいいので卵を6個受け取った。目玉焼きが食べたい気分だったのだ。
「朝から大変ですね」
「ホントだよ、お陰で目覚ましいらねーからな」
私もですけどね、とは言わずにお礼を言ってドアを閉めた。サイタマさんに文句を言っても仕方がない。隣に住んでる私も私だからな。
キッチンで目玉焼きとウィンナーを用意して、まぁ一応野菜も食べとこうとプチトマトも洗った。仕上げにマヨネーズを全部にかける。これで完璧だ。
テレビをつけて適当なチャンネルのニュースを見ながら早めの朝ごはんを食べた。なんかZ市の隣で怪人が暴れてるらしい。
食べ終わったお皿を放置してぼけっとしていたらまたしても玄関のチャイムが鳴った。朝から忙しいな。
「はい」
「おう。鶏肉いらね?」
捌いたんかい。
「怪人って食べてもいいんすかね」
「鳥だぞ。ササミ美味かったし平気だろ」
ならいいか、と足つきのお肉を受け取った。生々しいなオイ。
「先生、残りの肉は冷凍保存しました」
「おーありがとな」
サイタマさんの後ろからジェノスさんが三角ずきんとエプロン、そんでゴム手袋をはめてやって来た。食肉加工の人じゃん。
「おはようございます」
「どうも」
挨拶をすると、相変わらずの無表情で返された。基本無愛想な人だけど、顔がいいので朝から得した気分だ。
「朝からイケメン見れたし、今日はいい日になるな」
「え?照れるぜ」
「あぁ、サイタマさんの事じゃないです」
「えっ」
えっじゃない。髪を生やして出直して欲しい。ジェノスさんが「先生はカッコイイですよ!」と慰めているが、サイタマさんはうるせ、とむくれていた。
「でも鶏肉この量ひとりじゃ食べきれないですね、つくねにして鍋でもしますか?」
「いいなそれ、今日やろうぜ、ウチで」
「具材買ってきます」
「いやはえーよ」
今凄い軽く家に招待された気がするけど、楽しみだな。やっぱ今日はいい日だ、倒されたニワトリ怪人には悪いけど、と、足を持ってぶら下げたままのお肉に向かって心の中で話しかけた。サイタマさんちで食べた鍋はすごく美味しかった。ほとんど私が作ったけど。










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