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真っ赤な夕陽に、真っ白な牛乳を注いでかき混ぜたなら、きっとこんな色なんだろうな。目の前に広がる空の色を見て思ったことは、そんな感じ。ホイップクリームみたいな雲が浮かんでる様子を、ぼーっと見ていた。
「おや?おやおやおやおや?」
惚けたような、それでいて軽薄な感じがする声がした。辺りを見渡そうと振り返ると、声の主は驚くほど近かった。ほとんど口がくっついてしまいそうなくらい近くにある顔に驚いて飛び退く。
「完全完璧不純物無し、人だねぇ。うーん、どうやってここに来たんだい?お嬢ちゃん」
真っ白な、男の人?なのだろうか。彼はふわふわとした見た目通りに、ふわふわと笑って、少し困ったようにそう言った。彼、マーリンと出会った最初の夢は、ここで終わってしまった。