3

「あぁよかった、おかえり。どうだい、日常は楽しめたかな」
夜になったので目を閉じてみたら、花畑を見渡す塔に3度目の来訪をしていた。目の前に差し出された紅茶を早速飲み干す。
「あんまり時間はないんだよねぇ。名前ちゃんもっとねぼすけしてもいいんじゃないかい?」
無理。遅刻するから。
「そう。残念。じゃ、さっそくまたお話しようか」
そう言って、マーリンは椅子に座った。基本にこにこしてるけど、何を考えているか全然わからない人だなと思った。
「そうだな。この間はお互い自己紹介をしたから…好きな物でも言い合うかい?」
なんだそれ。好きな物?なんだろう。甘いものかな。
「例えば?」
チョコ。飴。ケーキ。見た目の可愛い食べ物。
「ふぅん。女の子だねぇ。可愛い可愛い。見た目の可愛い食べ物って?」
タピオカミルクティーとか…マカロンとか?
「いいね、まさに流行に流されるまま生きる素晴らしいまでの凡人じゃないか」
舐めとんのか?じゃあ、あなたは何が好きなの?
「私?私は人間が好きだよ」
嘘。絶対嘘。
「まぁ嘘かもね。いや、だからといって嫌いなわけじゃないし、むしろ好きに該当すると思うんだけど?…あ、女の子は好きだよ。これは本当」
尚更ひどい。
「いいじゃないか、それとこれとは別なんだよ」
結局、何が好きなの?
「美しいもの、かな」
なら私と変わんないじゃん。
「変わらない?」
私も、可愛いものが好きなだけなの。
そう言うとマーリンは固まって、しばらく私の顔をじっと見た。人形のネジが止まってしまったかのように停止しているので、心配になって背中にネジを探しに見に行ったけどなかったので席に戻った。
「ふふ、それじゃあ私もキミとお揃いで、流行に流されるまま生きている凡人だったというわけか」
席に着いた時、マーリンがやっと口を開いた。
マジで怒るからな。タピオカミルクティーぶつけんぞ。
そこで、3回目の会話は終わった。