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渇いて渇いて渇いて唇がひりひりぴりぴりします。土埃が口の中に入りましたが、とっくに唾液も出なくなった舌にはなんだかお砂糖みたく思えて、ざらざらと、苦虫みたいな味を我慢すれば、それなりに美味しいかもしれないのでした。
明日はどこに行きましょうか。最近は悪夢が続いているので、自由に動ける昼の時間だけは、せめて楽しい記憶が見たいと思いました。
いろいろな記憶を見る旅をしました。 優しい記憶、虚しい記憶、孤独な記憶、愛の記憶。

でもいちばん楽しかったのは、どことも知らない女の子の記憶です。

朝は眠い目をこすって、ベッドから蹴飛ばしてしまったテディベアを拾って、焼きたてのパンにたっぷりのチョコソースをかけて、短いスカートを履いて、玄関で靴の踵を直します。
つまらなそうに勉強をして、隠れてゲームをして、周りにいるお友達と話をして、笑って、たまに泣いて、そして、帰り道にクレープやケーキやアイスを食べるのです。私はそれが大好きで、女の子の記憶を何度も何度も、何度も見ました。
その記憶の中の世界は本当に、夢みたいな場所です。空は狭いですが、空気は埃っぽいですが、人はたまに愚かですが、お菓子は甘くて美味しそうだし、女の子は大抵いつも笑顔で可愛かったのでした。

そろそろ夜になります。なるのでしょうか。あんまりもう目は見えません。できれば今日は、あのマシュマロの魔術師のところへ行きたいです。


あ、そうでした。
愚かだったのは、人じゃなくて、私でした。