あーあ。また来たよ。懲りないね君。あ、そっかそっか、別に来たくて来てるわけじゃないんだっけ。俺の知ったことじゃないけど。
で?今日はどうしてそんな死にかけなわけ?まるでアスファルトに張り付いた干からびる寸前のミミズみたいじゃないか。
「────、────」
……………………はぁーあ。はいはい。なるほどね、そういうこと。
お前、シルフか。
その人間の姿は借り物だな?寿命が近いのか、それとも現実では野垂れ死にそうなのかのどっちかだな。
クソ妖精国のとはまた違う性質っぽいな。おおかた、同じブリテンの微小特異点から入り込んで来てるんだろ。
しぶといなぁ、早くくたばっちゃいなよ。
なんで進むの?なんで呼吸してるの?なんで喋るの?なんでまだ生きようとしてるの?
終わりなよ。目を閉じてじっとしてりゃいいんだからさ。下を向いて縮こまって膝を抱えてまるまりなよ。
そうすれば、子守唄くらいは歌ってやるさ。
「──、─────、────」
何言ってるか全然わかんないね。羽虫の音より雑音だ。もう喋るな。耳障りだ。
「──、──!」
喋るなって言ってるだろ。
「──────」
…………。
「────」
…あ゛ぁァ゛ァ゛、うるっさいなぁ!耳障りだって言ってるだろ、静かにしてくれ!
うるさい、うるさい!終わってろよ!終われよもうほとんど終わってんだからさぁ!
駄々をこねるなよ子供かお前は!あぁそうか!妖精ってのはそういうもんだったな!
お前らのそういうところ、本当に反吐が出る!
「───、────」
はぁ?なんで今俺の話をしなきゃいけないの?
「─────────」
聞いてないよそんなこと。それで?愚かな君は聖杯に何を願ったわけ?
「─────、─────────」
くだらないな。
もういいよ。好きにしろよ。
なんで殺さないのかって?なんで俺が殺してあげなきゃいけないのさ。勝手に死になよ。
大体、それならどうして俺の所にも来るわけ?
やっぱり聖杯って、腐ってるんだろうね。
それとも、俺に殺されることが、君の本当の望みなのかもね?
まぁいいよ。どっちにしろ、次来たら殺すよ。それが嫌なら、今度こそ来ないことだ。
ほら朝だよ。まだ生きてるといいね。さようなら。
おやすみ。いい悪夢を。