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「やぁ。今日は少し、ボクの話をしようかな」

「ボクは魔術師マーリン。キミは知っているかもしれないけどね。実はウーパールーパーの妖精ではなかったんだ!(ドン!)」

「何にも関わることは出来ず、惑星の終わる日を見届ける者」

「だったんだけどね。まぁ、それは時と場合によるかな!なんてったっておにいさん、意外と最近は多忙でね」

「君に話した言葉に偽りはないよ。ボクは人間が好き。それは人間達の好きとは違うなにかなのかもしれないけど」

「だから、君と話した会話はとても興味深かった」

「ボクにはね、この世界が絵画に見えるんだ」

「ひとつの絵さ。人の紡ぐ運命の軌跡が、重なり合って産んだ作品に、ボクは惹かれる」

「その1枚が、美しいことをボクは望んでいる」

「いやぁ、端的に言うとね、前にも言った通り、ヒトひとりとか、個人の話になると…………ホラ、君だって分かるだろう?妖精なんだから」

「……うん、違うか。君は、その女の子が大好きなんだからね」

「正直に言うとね、君のことは助けてあげられない。ごめんね。気づいた次の日からは、紅茶に少し魔術も施してたんだけど……」

「でもね」

「このまま、君も死んで、君の居る特異点も消えて、ボクたちのあの時間が、ただの終わった過去になってしまうのは」

「ちょーっとおにいさんのポリシーに反するかな!具体的に言うと、めでたしめでたしで終わりたいからね!」

「なので、少し頑張ってみるとしよう。さて、どうしようかな…君の要望はあるかい?」





私の、私の?
「──、それなら、もう…」
私の願いは、もう叶っている。これ以上望むなんて、きっと傲慢なんだろう。
それでも。
もし、もしも、許されるのなら。
「名前、の、」

あの女の子の、続きを見たい。