めでたし、めでたし

「……………はぁ?」

出会って開口一番、完璧だった彼の王子様面をひどく歪ませ、おそらく心の底から呆れた声を出させてしまった。
他のサーヴァントに向けるような上辺だけの態度さえ剥がれ落ちるほどの嫌悪感を向けられて、流石に私も気まずさに目を逸らす。チクチクと視線が蜂に刺されたみたいに痛かった。

「……………お前なんでいるの?」
「え、いやー、マーリンに聞いてよ」

そう言われても困る。なんていうか、彼にとって私は確かに初対面ではないけど、彼に会ってた時の私ってほぼ私じゃない時だったから、実はあんまりよく知らないのだ。彼女は、オベロンと何を話したんだろう?少し気になるけど、私の声を聞いて露骨に表情が冷えた彼にはさすがに聞く気にならない。

「は?なに?あの妖精は?」
「あの子は死んじゃった」

隠し立てする気もなかったし正直に言ったら、ますます表情がなくなってしまった。怖い。

「ふぅん。それで?君だけそうしてここにいるんだ?サーヴァントにまでなって?」
「あの子が私にそうして欲しかったんだって。なんか…よく知らないけど、マーリンがあの子の特異点をいろいろ弄って、カルデアを呼び寄せて、そこであの子の霊基を」
「わぁ、すごいすごいありがとう、もういいよじゅうぶんじゅうぶん!」

ものすごい笑顔で遮られてしまった。言葉はいいが要するにそれ以上話してみろ、ぶっ殺すぞぐらいは思ってそうな感じだ。

「はー……。最高。なにもかも上手くいって、ハッピーエンドだ。本当、最高だね」

そんな吐き捨てるみたいに言われても、全く祝われてないような気がする。現に目が笑ってない。

「もういいや。どうでも。…一つだけ聞いていいかな」
「どうぞ」

「君は今、嬉しい?」

言葉が浮かばない。仕方なく曖昧に笑っておくと、妖精王はそれ以上本当に聞く気がなかったようで、私の存在を見ないようにするかのように去っていった。








「というわけで、めでたし、めでたし」