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※イアソン幕間ちょいネタバレ





あらすじ。立香くんと食堂でご飯を食べていたら、イアソンに巻き込まれて新アルゴノーツ募集企画に巻き込まれた。あらすじ終わり。

「なんで…」
「そこに!いたから!」

横でビラ配りをしているイアソン船長が身も蓋もなくそんなことを言っている。というか、船長は俺だ!とか言いつつ、そうやって自ら船員募集を呼びかけているというところがいかにも彼らしいのだが。そういうところだぞ、そういうところ。

「いいから声出せ声ー」
「んぇ〜…新生アルゴノーツ、船員募集でーす、いかがですかぁ〜」
「腹から声出せー」

バイト先の店長のようなことを言ってくるな、この船長。
チラシにティッシュでも付けたらと言おうとしたら、いかにも即席で作られましたという感じのそのチラシを受け取ってくれる英霊は意外にもすんなり現れた。

「あ、ありがとうございま─、ジャンヌ!」
「何これ、アンタまた馬鹿そうなことしてるわね」

と言いつつ、そのままペラペラのチラシを掲げながら去って行ってしまった。やだ…好き…。

ジャンヌが受け取ってくれたからだろうか、続いて訝しがりながらも数人の英霊がこの胡散臭いチラシを受け取ってくれた。そして一様に首を横に傾げていた。そりゃそう。

「1枚貰おうかな」
「ありがとうございま─」

流れで手渡そうとして、声をかけてきた紳士な声に顔を上げて思わず手を引っ込める。スラッとした立ち姿のアラフィフは、軽やかに「おやおや」と肩を竦めていた。

「何かネ?私、善良なアラフィフ。コワクナイヨ〜」
「あー、その男はダメだな。入れたら最後なんやかんやで副官みたいなポジションに収まり、船を内部から崩壊させるからな」
「さんざんな言われようだネ!?まぁやるけども!」
「やるんかい」

イアソンはそう言うが、しかし皆に配布しているチラシをあげないのは採用するしないに関わらず、平等にしたほうがいいか…?と思い、1度は引っ込めた手を控えめに戻すと、モリアーティは人の良さそうな表情をパッと作り「うーん、Good boy!」と受け取って行った。でも不採用だそうですよ。いいのかな。

その後も首を傾げつつも受け取る英霊や、豪快に笑いながら受け取っていく英霊など、とんとん拍子に手の中のチラシは厚みを無くしていく。もはやカルデアではこんな珍百景などいつもの事ということか。横目で見たイアソンや立香くんの手元のチラシもそろそろ無くなりそうな量になっている。

残りあと1枚、なんだかんだで最後のチラシを受け取ろうとするその手を見て、またまた自己防衛本能がサッと身を仰け反らせる。さっきと同様にすかさず「おやおや」と聞こえてくるが、そういった人種間でのお決まりの台詞なんだろうか。

「ンンン、何か?拙僧、善良な陰陽師。怖くありませぬぞ?」
「イアソン船長、判断を…」
「はい却下」
「ンンン〜ッ!即決!」

迅速な判断。なるほど、船長の素質を見せましたね。
即決却下された道満は特に残念がるでもなく、飄々と俺の方を見てにこやかに(怖い)笑っている。まるで、「あのアラフィフにあげたのなら当然拙僧も貰えますよね?」と言った感じだ。いや、だからその場で合否出てますけど、いいんですかね貴方たち。紙飛行機にでもするんですか?
まぁ、アラフィフにもあげたのだから、渡すべきなんだろう。というかあげないと前から退いてくれなさそうな雰囲気だ。2mの巨体が目の前に居るのは威圧感が凄い。道満の長く黒い爪と爪がカチカチと音を鳴らす音は、俺のチキンな肌を粟立たせるには十分だ。

「どうぞ…」
「はい、ありがとうございます」

いやだからね、不採用なんだからね。何なの君たち。










「なぁマスター、あれ、どっちも名前に話しかけてみたかっただけなんじゃねぇかな。どうすんの?」

「よし、俺とマシュとダヴィンチちゃんとホームズで軍事会議だ」