ズルいひと4


「ねーぇ、名前ー」
「なんですかー?」
「木林さんとはどこまでいったの♥」
「っ、」
デスクワークに勤しんでいたら、東海林さんにとんでもない事を聞かれて固まってしまう。いや、ちょっと…

「…どこまでも何も、付き合ってないですし」
「え、ちょっと待って。ここ最近ずーーっと!デートしてるじゃないアンタ達!」
「う、まぁ、そうなんですけど。」

しどろもどろになっていると、東海林さんがオーバーな動作でため息をつく。そろそろ、答えをださなきゃいけないとは思ってるんだ。今夜また約束しているし、その時にきちんと返事をしよう。


「名前さん、」

何度もデートを重ねるうちに、彼が私の名前を愛おしそうに大切なものかのように呼ぶ事に気付いた。からかってるわけじゃないのだと、嫌でも思い知らされたのだ。

「名前さん、大丈夫ですか?寒くない?」
「うん、大丈夫」

ブランケットを肩に掛けてくれながら問うてくる木林さんに微笑んで返す。そういえば、最近たまに敬語がとれて素の彼がすこしだけ垣間見える。それがもし私の前でだけだったとしたら、なんて期待してしまう。私も以前より、フランクに喋れるようになったと思う。

「星、綺麗だね」
「人工物ばかりの街で生活していると、たまにこういうものが恋しくなるんですよね」
「それ、分かるかも」

穴場なのだと、連れてきてくれた場所は都会からは離れた所にある湖のそば。私達以外誰も居ない。街灯も申し訳程度にしか設置されていない此処は、空を見上げれば零れ落ちてきそうな程の星が煌めいている。

ベンチに肩を寄せ合って座って、静かに星を見上げているといつもあくせくと働いている時とは、時間の流れが違うように思える。

「木林さん、……南雲さん」
初めて下の名前を呼んでみたら、彼は「何ですか」と優しく返してくれた。

「すき」
「はい、…俺も貴方の事が好きでたまらない」
彼の目をしっかり見て好きだと伝えれば、それ以上の言葉で返してくれた。どちらからともなく手を繋げば、静かに顔が近づき優しく唇が触れた―――

「この星空に誓って、貴方の事をずっと大切にします」
「私も、誓って大切にする」

再び触れた唇は
甘い愛を含んで